セキュリティソフト会社のデジタルアーツ(東京都千代田区)は10日、未成年の携帯電話・スマートフォンの使用実態について調査結果を発表した。スマホを使用する未成年の割合は37.4%で、初めての人と知り合うSNSは Twitter、mixi、LINEが多い。実際に会うことを希望する人は全体の3割だが、高校女子は半数以上が「これから会いたい・すでに会っている」と答えている。
調査は、携帯電話・スマホを所持する全国の小中高校生男女618名、その保護者層618名、合計1236名を対象に、先月9~10日、インターネット調査で行われた。
■フィルタリング使用率は年齢と共に減少、利用時間は上昇
何らかの携帯電話を持つ未成年者(10~18歳)のスマホ所有率は昨年11月の同社調査では14.4%だったが、今年は37.4%に上昇した。高校生は60%を超え、特に女子高校生は65.0%と高率だ。全体のフィルタリング使用率は37.2%だが、高校生になると使用率が減少し、特に女子高校生は26.2%と低くなる。1日の平均使用時間は1.8時間だが、学齢が上がるにつれて多くなる傾向があり、利用時間はスマホを持たない人よりスマホを持つ人のほうが多い。
■連絡手段はメールと電話、高生はLINE、Twitter、mixi、Skype利用
リアルな友達との連絡手段は、子ども全体ではメール(78.2%)、電話(55.5%)、LINE(22.5%)、Twitter(12.9%)の順だが、高校生になると、LINE、Twitter、mixi、Skypeの利用割合が高くなる。特に高校女子は、メール(81.6%)に次いでLINE(54.4%)が利用されている。
見知らぬ人と知り合いになったSNSは、子ども全体ではTwitter(34.9%)、mixi(22.8%)、LINE(21.0%)の順になる。高校生ではTwitterで知り合うケースが半数以上(男子56.0%、女子54.3%)を占めるが、2番目以降は、男子がLINE(40.0%)、Skype(21.3%)、女子がmixi(37.0%)、アメブロ(27.2%)と分かれる。
■SNS知人と「会うつもりはない」56%、「会ってみたい」32%
SNSで知り合った人と「会うつもりはなく、これからもネット上だけでよい」と回答した人は全体で55.6%、「会ってみたい・すでに会っている」と答えた人は同32.4%だった。高校生は「会ってみたい・すでに会っている」回答が多く、高校男子は34.7%、高校女子は53.1%と半数以上になる。
■スマホを使いこなす子どもへの評価と注意点
今回の調査結果について、東京成徳大学の田村節子教授は、スマホを使いこなす子どもたちの自然さ素直さを評価しつつ、危険性も指摘する。便利なハードが身近に存在するようになったことで、「これまで一部の子どもだけの問題状況と思われていた行動が、身近に起こり易くなっている」ことが予感されるとしている。
警察庁は今年5月、昨年下半期に検挙したコミュニティサイト(いわゆる非出会い系サイト)に起因する事件の調査内容を公表したが、コミュニティサイト起因の被害児童数は539人を数える。被疑者は子どもとの交際目的でコミュニティサイトを選んでおり、その約4割は子どもを安心させるために、プロフィールを偽って接近している。詐称内容は、年齢が最も多い(61.4%)。女子高校生がネットで出会った相手が、たとえ同性・同世代だと言い、写真も送ってきていたとしても、実際に会ってみたら高齢の男性だったなどということが実際にあり得るわけである。
これから冬休みを迎え、SNSの利用時間も増えることが予想されるが、子どもたちのスマホ利用については、保護者の十分な見守りが必要と思われる。とくにフィルタリングと家庭内ルールについては、冬休みを前に親子で話し合い、検討する時間をもってはいかがだろうか。下記の「子どものネットトラブル~重要性を増す保護者の役割」も参考にしていただきたい。
(2012/12/18 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:デジタルアーツ】
・未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査
http://www.daj.jp/company/release/2012/1210_02/
・未成年の携帯電話・スマートフォン使用実態調査[PDF]
http://www.daj.jp/company/release/data/2012/121001_reference.pdf