身に覚えのない料金を請求される「架空請求」のトラブルが再び増加に転じ、100万円以上の被害も出ているとして、国民生活センターが注意を呼び掛けている。請求手段はおもに電子メールで、支払い手段は宅配便や郵便、電子マネーなど被害救済がより困難な方法に変化している。
同センターによると、架空請求トラブルのピークは2004年度で、消費生活相談全体の約35%を占める約68万件もの相談があった。その後、注意喚起の取り組み等が功を奏して減少を続け、近年では2009年度の約6万件から2011年度の約2万件まで減少した。しかし、2012年度に入って増加に転じ、約3万7000件(2013年3月21日登録分まで)と、2011年度同期の2倍を超えるペースで増えている。
■業者への連絡で請求がエスカレート
架空請求を受けたユーザーが料金を支払う前に相談してきた例として、以下が挙げられている。
・身に覚えのない最終通告メールが届き、業者に電話連絡をするよう求められている。放置すると法的措置を行う身辺調査に入ると書かれている
・受信拒否設定で督促メールが届かない、長期滞納のため民事訴訟を行うと言われ、訴訟差し止め等を希望する場合は至急連絡するように求められている
・心あたりのない「登録完了」メールが届き、退会処理をしたら料金を請求された
「裁判」「訴訟」「法的措置」などの言葉を使って不安感をあおり、業者に連絡をとらせようとしていることがわかる。しかし、業者に連絡したり支払ってしまった場合、事態は収束するどころかエスカレートする。連絡等によって新たな個人情報(電話番号など)が知られてしまうため、もっと強硬な請求に変わるのだ。次に挙げる「支払ってしまった後の相談例」がそれを示している。
■平均被害額は約48万、100万円以上の被害は66件
「業者に電話をしたら、次々と費用を請求され、支払ってしまった」「退会処理のために請求された料金を支払ったら、次々と料金請求メールが届く」など、支払ってしまった後の相談が増加している。支払えないと業者に連絡した人は、「親、兄弟に支払ってもらう、職場にも押しかける」と脅されている。また、架空請求で支払ったお金を取り戻せるという探偵業者の甘言にのせられ、さらに被害額を増やしてしまった人もいる。
相談の段階で業者に支払ってしまっているケースは全体の2.2%(823件)と少ないが、被害金額の平均は約48万6000円と高額なのが特徴だ。50万円以上100万円未満は82件、100万円以上500万円未満は51件、500万円以上の被害も15件発生している。
■手口の変化と消費者へのアドバイス
請求名目は、デジタルコンテンツ関連が、2009年度の約6割から2011年度以降は約8割に増えた。請求手段もかつてはハガキが多く、電子メールは2009年度には全体の5割に満たなかったが、2012年度は約8割に及んでいる。口座振り込みは口座凍結などの対応が取られるようになったこともあり、支払い手段は宅配便や郵便、電子マネーなど被害救済がより困難な方法に変化している。現金を「本」などと別の品物と偽って送り状に書かせるケースもある。
同センターは、消費者へのアドバイスとして次の3つを挙げている。
(1) 請求者に連絡しないこと
(2) 利用した覚えがない請求は、支払わず無視すること
(3) 不安な場合は消費生活センターに、悪質な場合は警察に相談を
消費生活センターへの相談には、請求を受けたメール画面や振込票などの記録が残っているとよい。脅迫された場合や身辺に不安を感じる場合は、脅しに屈して連絡したり支払ったりせず、警察に相談するよう同センターは勧めている。
(2013/04/04 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:国民生活センター】
・再び増加!架空請求のトラブル-請求手段はハガキから電子メールへ
(発表情報)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20130328_2.html
(発表資料)[PDF]
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20130328_2.pdf