ネットバンキングの不正送金が多発している問題で、総務省はプロバイダー等に対し、ユーザーへの注意喚起について協力を要請した。また今年にはいってからの被害額が4億円を超え、過去最悪であることが警察庁のまとめで分かった。
ネットバンキングの不正送金被害をめぐっては、ウイルスを使ってIDやパスワードなどのアカウント情報を盗み出す手口によるものが多発している。使われているウイルスは、日本のネットバンクユーザーをターゲットにカスタマイズされたZeus/Zbot系のウイルスで、アカウントを盗み取り、パソコンを遠隔操作する機能を持つ。
総務省は8日、電気通信事業者関係団体に対し、各団体に所属する電気通信事業者からユーザーに注意喚起を行うよう、協力を要請したと発表した。基本的なウイルス対策の実施を呼びかけるよう求めた。また、警視庁等において、問題のウイルスに感染している可能性が極めて高い端末機器の情報が把握されたとし、これに関連する注意喚起にも可能な範囲で協力するよう要請している。
各社の報道によると、警視庁では情報セキュリティ企業から情報提供を受けるなどして調査をすすめており、国内で1万5000台のパソコンがこのウイルスに感染しているとみているという。感染台数を読み取れる資料は、今のところ警視庁のサイトには見当たらない。
警察庁のまとめによると、今年に入ってから今月8日までのネットバンク不正送金の被害は、445件、総額約4億1600万円に上っており、被害額は過去最悪だった2011年の3億800万円をすでに超えている。これを受け警察庁では9日、全国の警察の担当課長を集めて緊急対策会議を開き、対策の徹底を指示した。
(2013/08/12 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
■ネットバンキングに係る不正アクセス事案への対応に関する利用者への注意喚起等について(要請)(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01ryutsu02_02000076.html