パソコンを操作中に「PCがクラッシュ寸前です!」「スパイウェアが検出されました」などという表示が現れて不安になり、クリックしてソフトを購入してしまったが解約したい――こんな相談が国民生活センターに寄せられている。2013年度には1505件の相談があり、前年同期の4倍に増加している。
国民生活センターが24日に公表した資料によると、こうした相談は年々増加している。2013年度に受け付けた相談について契約当事者の属性を見ると、性別では男性が約6割、女性が約4割で、団体等からの相談も13件あった。年代別では、件数の多い順に60歳代が29%、40歳代20%、50歳代19%、30歳代10%となっており、40歳以上が約8割を占める。
平均契約購入金額は約6000円で、1000円以上1万円未満が約9割。また、クレジットカードを利用したものが約8割だった。
■相談事例
国民生活センターに寄せられた相談事例には、以下のようなものがあった。各事例の詳細は、PDFで提供されている報告書本文で確認できる。
・パソコンの画面に「危険」と表示され、驚いてその部分をクリックすると、エラーが114個で危険と表示された。パソコンにセキュリティソフトを入れていなかったので、あわてて有料版を購入した。
・無料の解凍ソフトをダウンロードしたがうまく操作できなかった。突然、「パソコンが脅威にさらされている」という警告表示が出たのでクリックしたところ、ソフトを購入するよう示され、安かったので購入した。しかしその後もパソコンに同じ警告表示が出て不審だ。
・警告表示を見て無料ソフトをダウンロードしたら、有料の表示が出た。
・解約の電話をして初めて、海外から購入したと気付いた。
・大手のパソコンの会社のようなマークが表示されたので信用した。自動更新した覚えがないのに請求を受けた。
■相談急増の背景に「日本語化」、手口自体は以前から存在
偽の警告を出してユーザーの不安をあおり、「セキュリティソフト」や「パソコンの性能を改善するソフト」を購入するように迫る手口は、目新しいものではない。たとえば情報処理推進機構(IPA)では、こうした手口について2006年から何度も注意を呼びかけている。
ただし、数年前までは、警告表示が英語だったり、違和感のある日本語(例:このウィルスはすでに百万のパソコンを感染して、インターネット上で色んな国で広がれています)だったり、あるいは製品名が「VirusuWadame」(ウイルスはダメ)、「KansenNashi」(感染なし)といったおかしなものだったりしたため、警告を見てもソフト購入にまでは至らなかった人が多かったとみられる。
しかしこのところ、違和感を感じない日本語の警告表示が目につく。編集部では以下のような表示を確認している。
・警告!お使いのPCがクラッシュ寸前です! OKをクリックして無料修理
・システム内でスパイウェアが検出されました。 修正のために無料スキャンを実行
・自動アップデート PCを高速化します!
・メモリ漏れを検出しました!
・コンピューターに感染ファイルが見つかりました 今すぐ無料で修正
・PCスピードテスト 現在のスピード/潜在的な最高スピード 今すぐ修正
・Microsoft CERTIFIED お使いのパソコンの性能が低下しています Windowsのエラーを直ちに修正してください
このうちいくつかは、東京都が公開している資料「警告表示をして、セキュリティーソフトを購入させる詐欺広告に注意!!」に図で掲載されている。
■嘘の警告が表示される原因と対策
改ざんされたWebサイトの閲覧時などに、こうした警告を表示するプログラムが知らない間にインストールされてしまうケースがある。フリーソフトに広告表示をするプログラムが同梱されていて、いっしょにダウンロード/インストールしてしまうこともある。
警告と見まがう広告や、偽のオンラインスキャンサイトにだまされ、ユーザー自身がインストールしてしまうこともある。
知らない間にインストールされてしまうことを防ぐためには、パソコンのシステム、ブラウザ、プラグインなどを常に最新の状態にしておくことが大切だ。さらに、信頼できるセキュリティ対策ソフトを導入し、ウイルス定義ファイルをいつも最新の状態にしておこう。また、自分が使用しているセキュリティ対策ソフトの名称をしっかり頭に入れておけば、何か警告が表示された時に、嘘の警告かどうかを見分ける助けになる。
1年前の少し古い資料だが、IPAの『「どうして偽セキュリティ対策ソフトがインストールされるの?」~基本的な対策を知って、慎重にネットサーフィンしよう~」もぜひ参照していただきたい。
(2014/04/25 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・突然現れるパソコンの警告表示をすぐにクリックしないこと!-その表示は、有
料ソフトウエアの広告かもしれません-(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20140424_2.html
・報告書本文[PDF](国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/pdf/n-20140424_2.pdf
・警告表示をして、セキュリティーソフトを購入させる詐欺広告に注意!!(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/trouble/trouble25-sagiadvertisement-140106.html
・「どうして偽セキュリティ対策ソフトがインストールされるの?」~基本的な対策を知って、慎重にネットサーフィンしよう~(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/txt/2013/04outline.html