警察庁は22日、今年1月~11月までの特殊詐欺の被害状況をまとめ、発表した。実質的な被害総額は約498億7千万円で、過去最悪だった昨年1年間(約489億5千万円)をすでに上回っている。
特殊詐欺は、以前から被害の多かった「オレオレ詐欺」、「架空請求」、「融資保証金詐欺」「還付金詐欺」の4類型から成る「振り込め詐欺」と、近年増加が著しく2010年から項目が追加された「金融商品等取引名目の詐欺」、「ギャンブ必勝法情報提供名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」、「その他の特殊詐欺」の計8類型を指す。中には、インターネット上で一般の方が被害にあうことの多いものもあるので注意したい。
■架空請求詐欺
身に覚えのない料金を請求し、預金口座等に現金を振り込ませたり、宅配便や郵送などの手段で送金させたりするなどしてだまし取る詐欺のこと。ネットがらみでは、サイトの利用料金が支払われていないなどの架空請求メールが突然送られて来るタイプと、アダルトサイトなどでクリックして行くと、突然「登録完了しました」という画面になり、高額な料金を請求するタイプが主流だ。
この詐欺は、被害が抑えられた2011年の認知件数735件、被害総額約10億4千万円を境に増加を続けており、昨年は認知件数1275件、被害総額は過去最高の約52億円となった。今年は、既に6月の時点で前年の記録を突破しており、11月末時点で2599件、約145億6千万円にまで被害が膨らんでいる。平均被害額は、約561万円。かつては、100万円程度だったが、近年は高額化しているのが特徴だ。
■金融商品等取引名目の詐欺
未公開株や社債などの有価証券、外国通貨など、さまざまなものの購入を持ちかけ、金銭をだまし取る詐欺のこと。「必ずもうかる」とか「あなただけ」「高額で買い取る」などといって買わせようとする。
この詐欺は、集計を始めた2010年以来増え続けており、昨年は認知件数1782件、被害総額約178億8千万円と、ともに過去最高を記録した。今年はやや減少傾向にあり、11月末時点で1083件、約114億7千万円に被害となっている。平均被害額が非常に高額化しており、今年も去年に続く1千万円超えだ。
■ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺
パチンコ攻略法などの情報料や登録料、保証金などの名目で金銭をだまし取る詐欺のこと。パチンコ、スロット、競馬、ロトなど、さまざまなギャンブルを対象に、攻略法や必勝法、当たり番号情報などの虚偽の情報を提供し、現金を振り込ませようとする。パチンコの打ち子募集やサクラのバイトなどと称して勧誘することもある。
この詐欺は、集計を始めた2010年以来増え続けており、昨年は認知件数583件、被害総額約31億4千万円と、ともに過去最高を記録した。今年はやや減少傾向にあり、11月末時点で429件、約25億3千万円の被害となっている。平均被害額は約589万円で、この4年間で約2倍に膨れ上がっている。
■異性との交際あっせん名目の詐欺
異性との交流サイトに見せかけて、登録料や保証金などの名目で金銭を要求したり、高額なポイントを購入させようとしたりする詐欺のこと。異性になりすましたサクラが、メールやSNSなどを使って、出会い系サイトやSNSへと誘うことが多い。一見無料に見せかける手口が多いので注意したい。
この詐欺は、他の特殊詐欺に比べると認知件数が少なく、集計を始めた2010年以来増え続けてはいるものの、過去最高だった昨年で53件。今年は去年並みの50件だ。被害総額は減少傾向にあり、昨年は約196万円まで減ったが、今年はこれが一転し、約593万円に跳ね上がっている。件数が少ないため、一部の高額な被害が被害総額を大きく左右しているものと見られる。
(2014/12/25 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成26年11月の特殊詐欺認知・検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/sousa/souni/hurikomesagi_toukei.pdf