IPA(情報処理推進機構)は、2014年1~12月のウイルス・不正アクセスの届出および相談状況についてまとめ、発表した。届出件数、ウイルス検出数とも減少したが、不正プログラムの検出数は増加し、ネットバンキングのIDとパスワードを窃取するBancos(バンコス)が前年比で倍増した。また、スマホユーザーの「ワンクリック請求」被害相談も倍増している。
■不正プログラム検出数1位は「Bancos」、5月以降激減
2014年の届出件数は5014件(2013年から24%減少)、ウイルス検出数は8万3028個(同57.5%減少)、不正プログラム検出数は38万625個(同63%増加)だった。不正プログラムの年間検出数で最も多かったのはネットバンキングの不正送金に使われる「Bancos」で、2013年の3万867個から6万5942個へ、倍増した。しかし、検出数の推移 (2014年1月~12月)をみると、Bancosは2014年5月に激減し、以降も増加することはなかった。このBancosの激減と連動して、ネットバンキング関連相談も、2014年7月以降は大幅に減少している。
■「スマホのワンクリック請求」相談倍増、今後も増加懸念
IPAの「安心相談窓口」に寄せられた相談件数は1万5598件で、2013年より約2.4%増加し、毎月常に1000件を越す相談に対応している。「ワンクリック請求」相談は3301件で、2013年の3287件とほぼ横這いだったが、 このうちスマートフォンで被害にあったものは790件で、2013年の393件から倍増した。スマートフォン利用の増加に伴い、興味本位でアダルトサイトなどを閲覧した結果、ワンクリック請求の被害にあう人が増加していると考えられるという。この現象は今後も増加することが懸念されている。金銭被害に関係する相談としては、このほか「ソフトウェア購入を促し、クレジットカード番号等を入力させる手口」相談が624件、「ネットバンキング」相談が158件、「ランサムウェア」相談が35件寄せられた。
■「ネットバンキング」被害相談、2014年7月以降は大幅減少
ネットバンキング相談は、147件(2013年)から158件(2014年)へ、年間件数は横這いだが、四半期ごとの推移を見ると大きな変動がみられる。パソコンにウイルスを感染させて、乱数表などの情報をすべて入力させる手口が2012年後半に出現し、それに伴って相談も2012年10月から増加。以後、相談は途切れず続き、2013年7月から2014年6月には大きな増加をみせた。しかし、2014年7月以降、相談は激減している。IPAはその理由として、2014年7月に警察庁、総務省、JPCERT/CCなどが連携して「国際的なボットネットのテイクダウン大作戦」を行ったことを挙げている。Bancos感染パソコンの利用者に対してISP等を通じてウイルス駆除を促す活動が行われたもので、その結果、感染パソコンが減少し、相談の減少にもつながったようだ。
(2015/02/02 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:IPA】
・「コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況および相談状況[2014年年間(1月~12月)]」を公開しました。
http://www.ipa.go.jp/security/txt/2015/2014outline.html
・PDF版>コンピュータウイルス・不正アクセスの届出状況および相談状況 [2014年年間]https://www.ipa.go.jp/files/000043677.pdf