警察庁は2月17日から19日までの3日間、ファイル共有ソフト等を使用した著作権法違反事件について一斉集中取締りを実施し、133箇所を捜索、昨年より7人多い40人を検挙した。
ファイル共有ソフト等を使用した著作権法違反の一斉集中取締りは2009年に始まり、今回で6回目となる。今年は38府県警察が133箇所を捜索し、映画、音楽、アニメ、漫画、ゲーム、ビジネスソフト等の著作権法違反容疑で40人を検挙した。昨年の一斉集中取締りでは45都道府県警察が123箇所を捜索し、33人を検挙した。今年は前年より捜索箇所が10箇所増え、検挙人数が7人増えている。
■音楽ファイルの違法アップロード
日本音楽著作権協会 (JASRAC)によると、音楽ファイルの違法アップロードによる著作権侵害で、7名が逮捕・送致された。被疑者は、JASRACの管理著作物である音楽ファイルまたはアニメ等の動画ファイルを、ファイル共有ソフトを用いて大量にアップロードし、不特定多数のユーザーに対して送信できるようにし、著作権(公衆送信権)を侵害した疑いがもたれている。使用していたソフトや被疑者のプロフィール等は次の通り。
・青森県警察本部保安課サイバー犯罪対策室および青森警察署が逮捕:「Share」を使用していた東京都杉並区在住の会社員男性(30歳)
・福岡県警察本部サイバー犯罪対策課および博多警察署が逮捕:「Share」を使用していた群馬県桐生市在住の派遣社員男性(53歳)
・大阪府警察本部サイバー犯罪対策課および住吉警察署が大阪地方検察庁に送致:いずれもファイル共有ソフト「μTorrent」を使用していた、大阪市住吉区在住の男子大学生(21歳)および大阪府大東市在住の派遣社員男性 (24歳)
・三重県警察本部サイバー犯罪対策課および津警察署が津地方検察庁に送致:「Cabos」を使用していた三重県津市在住の会社員男性(29歳)
・愛媛県警察本部生活環境課サイバー犯罪対策室および伯方警察署が松山地方検察庁に送致:「Cabos」を使用していた愛媛県今治市在住の会社員男性(28歳)
・大分県警察本部生活環境課サイバー犯罪対策室および大分中央警察署が大分地方検察庁に送致:「Cabos」を使用していた大分県大分市在住のアルバイト男性(64歳)
■映画ファイルの違法アップロード
日本国際映画著作権協会 (JIMCA)によると、映画ファイルの違法アップロードによる著作権侵害容疑で、和歌山県有田市の無職の男性(65歳)が2月17日、逮捕された。和歌山県警察本部生活環境課によるサイバーパトロールで、男性が「Share」上に米国映画協会(MPAA)に加盟する大手映画会社の作品の映画ファイルを違法にアップロードしていることが確認され、JIMCAは映画ファイルを鑑定するなど捜査に協力した。同日の一斉集中取締りで有田警察署が男性の自宅を家宅捜索し、パソコンなどを押収した。男性は調べに対し、容疑を認めているという。
警察庁は、音楽、映画、アニメ、ゲームソフトなどの著作物を、ファイル共有ソフトの利用者が自由にダウンロードできる状態にする行為(公衆送信権侵害)、有償著作物等をダウンロードする行為(私的使用のための複製)が違法であることを説明し、インターネットの適法・適正な利用を呼びかけている。
(2015/03/05 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・ファイル共有ソフト等を使用した著作権法違反事件の一斉集中取締りの実施について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/warning/h27/150220.pdf
・ファイル共有ソフト等を使用した著作権法違反事件の一斉集中取締りの実施について (コンピュータソフトウェア著作権協会:ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/criminal/2014/1160.php
・ファイル共有ソフト「Cabos」、「Share」および「μTorrent」を用いた著作権侵害 全国6警察が音楽ファイルの違法アップロード者7名を逮捕、送致(日本音楽著作権協会:JASRAC)
http://www.jasrac.or.jp/release/15/02_2.html
・映画を違法にアップロードしたとして和歌山県有田市の男性を逮捕(日本国際映画著作権協会:JIMCA)
http://www.jimca.co.jp/news/#201502232
・ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害について(ファイル共有ソフトを悪用した著作権侵害対策協議会:CCIF)
http://www.ccif-j.jp/infringement.html