総務省は19日、テレビ・新聞(従来型メディア)と、インターネット上のメディアについて、利用率や信頼度などを調べた「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」2014年版を取りまとめ、公表した。
この調査は、同省情報通信政策研究所が、東京大学大学院情報学環・橋元研究室ほかとの共同研究の形で実施しているもので、2012年に始まり今回で3回目となる。13歳から69歳までの男女1500人を対象に、昨年11月15日~21日の間、訪問留置調査の方法で、日記式調査とアンケート調査を併行実施した。
■全体で6割超えたスマホ利用率、自宅での無線LAN利用率は6割弱
前回の2013年調査で、全年代のスマートフォンの利用率(52.8%)が、いわゆるガラケー(フィーチャーフォン)の利用率(51.0%)を逆転した。今回の2014年調査ではその差はさらに広がり、スマホ利用率が62.3%に増加、ガラケー利用率は42.2%に減少した。スマホ利用率を年代別でみると、トップは20代94.1%(前回調査87.9%)で、以下、30代82.2%(同78.7%)、40代72.9%(同58.8%)、10代68.8%(同63.3%)、50代48.6%(同32.4%)、60代18.3%(同8.7%)と続く。40代、50代、60代は、ガラケーからスマホへの移行が他年代より進んでいることがわかる。
今回調査から自宅での無線LAN利用についての質問も新設され、全体で7割弱の自宅に無線LANがあり、6割弱が自宅で無線LANを利用していることがわかった。スマホ利用者で自宅に固定インターネット接続回線がある者のうち、7割が自宅でスマホから無線LAN経由でインターネットに接続している(オフロード)。
■ソーシャルメディア利用率は6割超、モバイル利用が大半
調査では、主なソーシャルメディアとして「LINE」「Facebook」「Twitter」「mixi」「Mobage」「GREE」の6つを挙げ、利用の有無を尋ねた。これら6つのいずれか1つ以上を利用している率(利用率)は全体で62.3%となり、2013年の53%から10ポイント近く上昇した。年代別にみると、10代は78.6%(前回調査74.1%)、20代は95.0%(同90.1%)、30代は82.6%(同77.6%)と高水準で推移している。上昇率が著しいのはスマホ同様40、50代で、40代は55.1%が70.3%へ、50代は30.5%が45.9%へ、いずれも15ポイント以上増加した。
スマホ利用者がソーシャルメディアを利用する割合は全年代で91.6%で、スマホ普及に伴ってソーシャルメディア利用が伸びた様子がうかがえる。LINE、Mobage、GREEはモバイル利用が大半で、パソコンからの利用は2割以下。Facebook、Twitter、mixiは8割以上がモバイル利用で、4割程度がパソコンからも利用している。「YouTube」と「ニコニコ動画」はパソコン利用とモバイル利用が比較的拮抗している。
■文字ニュースは新聞とポータルサイトが双璧、若年層が読む媒体は?
テキストでニュースを得る手段を調べた結果は、紙の新聞62.8%、ポータルサイト(Yahoo!ニュース、Googleニュース等)54.5%が圧倒的に多く、以下、ソーシャルメディアによるニュース配信(LINE NEWS等)9.5%、新聞社無料ニュースサイト9.2%、キュレーションサービス(SmartNews,グノシー等)5.6%と続く。新聞社提供の有料ニュースサイトは前回の1.4%より増えたものの、2.5%にとどまる。
ニュースを見ないと言われる若年層だが、「いずれの方法でも読んでいない」割合は、前回調査よりも減少した。10代33.6%(前回44.8%)、20代16.3%(同28.3%)、30代12.8%(同22.0%)と推移している。前回調査では提示していない方法(LINE NEWS、SmartNews、グノシー、Googleニュース)を今回調査では加えた影響ともみられ、若年層が何らかの方法でテキスト系ニュースを読んでいる可能性がうかがえる。
■信頼度では「新聞」がトップ、ネット系は低迷
この調査では、8つのメディア「テレビ」「ラジオ」「新聞」「雑誌」「インターネットニュースサイト」「ソーシャルメディア」「動画配信・動画共有サイト」「ブログ・その他のサイト」について、5つのテーマ「政治・経済問題(国内)」「社会問題(国内)」「海外ニュース」「原子力の安全性」「東アジアの外交問題」ごとに利用者の信頼度を調べている。その結果は、前回調査と同様、ネット系メディアよりも新聞・ラジオ・テレビなど従来型メディアへの信頼度がはるかに高い。以下は、2つのテーマについてピックアップした数値である。
「政治・経済問題(国内)」に関する信頼度:テレビ85.5%、ラジオ85.1%、新聞88.2%。ニュースサイト73.6%、ソーシャルメディア27.0%、ブログその他21.7%
「原子力の安全性」に関する信頼度:テレビ54.1%、ラジオ56.4%、新聞59.7%。ニュースサイト50.1%、ソーシャルメディア20.4%、ブログその他15.5%。
政治・経済問題について、ソーシャルメディアやブログが3割以下であるのに対し、従来型メディアは8割以上、とくに新聞は88.2%と9割近い信頼を得ている。しかし、「原子力の安全性」については、新聞でも59.7%に信頼度が落ちてしまう。かといって、ネット系メディアの信頼度が高いわけではなく、ソーシャルメディアは2割台、ブログその他は1割台と低水準がさらに低くなる。重要かつ微妙なテーマについて、利用者は従来型メディアに失望しつつ、ネット系メディアにも頼れないのが現実のようだ。
(2015/05/22 ネットセキュリティニュース)
【関連URL:総務省】
・「平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書」の公表
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/01iicp01_02000028.html
・調査報告書の主なポイント[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000357568.pdf
・調査報告書の概要[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000357569.pdf
・平成26年情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査報告書[PDF]
http://www.soumu.go.jp/main_content/000357570.pdf