東京都は5日、消費生活センターを思わせるような名称を使い、相談を受け付けるとしてリンクをクリックさせようとするメールが送られていると、注意を呼びかけた。
都の消費生活総合センターによると、消費者から、「SMSの送信履歴のある方を対象にメールしている。消費生活に関する質問を受け付ける」という内容のメールが届き、国民生活センターに似たドメインのURLが記載されていたという相談が同センターに寄せられている。
「出会い系サイトに登録されている方を対象に」「個人情報が漏えいしている方を対象に」といったパターンのメールも確認されているという。
編集部で調査したところ、件名や本文に「SMSの送信履歴がある方を対象に」と記載されたメールは見つけることができなかったが、件名が「SNSサイトに登録履歴がある方へ送信中」とされているものは確認できた。
当該メールの送信者名は「消費者センター」となっており、本文には「商品やサービスなど消費生活全般に関する苦情や問合せなど、消費者からの相談を専門の相談員が受付け、公正な立場で処理にあたっております。」とある。さらに、「違反メールの特徴」として、
・送信の同意をした覚えのない広告宣伝メール
・送信者などの情報がない表示義務違反の広告宣伝メール
・送信元のアドレスを偽って送られた広告宣伝メール など
の3点を挙げた上で、「この度、ご連絡を差し上げました経緯については下記URLをご参照下さい。」としてURLをクリックさせようとしている。
URLのドメインは、国民生活センターの正しいドメイン「kokusen.go.jp」に非常によく似ている。具体的には「go.jp」が「co.jp」に変っているだけだ。
このメールを送っているのはポイント制の出会い系サイトを運営する業者で、ほかにもさまざまな迷惑メールを不特定多数に送りつけている。それらを受け取った後に当該メールが届いたら、違法な広告宣伝メールを受け取ったという心あたりがあるだけに、リンクをクリックしてしまう方もいそうだ。
都の消費生活総合センターは、消費生活センター等が不特定の人あてにメールを送ることはないとして、「消費生活センター」、「消費者センター」、「国民生活センター」など公的な機関の名称が使われていても、身に覚えのないメールは無視するようにとアドバイスしている。また、消費生活センターや国民生活センターを名乗る不審なメールや勧誘があったときには、最寄りの消費生活センターに相談するよう呼びかけている。
■話題の言葉で興味を引くことを狙った偽装広告メールが増加中
迷惑メールに関する情報を受け付けている日本産業協会が4日、マイナンバー制度や安保法案成立等のキーワードを使い、好奇心をあおり、記載されたURLをクリックさせようとする偽装広告メールが増えているとして注意を呼びかけている。中には行政機関を堂々とかたるものもあり、つい開いてしまいがちだが、実際に表示されるサイトは有料の出会い系サイトや情報商材を販売しているサイトだという。
同協会は、メールの件名や本文だけで容易に判断せず、ドメインや送信先メールアドレス等を確認し、見覚えのないメールのURLをクリックしないようにと呼びかけている。
(2015/11/09 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・消費生活センターから相談を勧めるメールが来た!~相談者以外の方に消費生活センターから連絡することはありません~(東京都)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/sodan/kinkyu/151105.html
・悪質メールトレンドVol.37 誤認を誘うメールにご用心(日本産業協会)
http://www.nissankyo.or.jp/mail/trend/trend.html#vol.37