架空請求などの問題解決をうたう窓口に相談すると、実際には相手が悪質な探偵業者で、問題を解決できないまま費用を請求されるトラブルが増えているとして、国民生活センターや警視庁などが注意を呼びかけている。
警察庁のまとめによると、2015年度の架空請求被害の認知件数は3821件(既遂3180件)、実質的な被害総額は187億5295万9041円だった。今年は減少傾向にあるものの、11月末までに3291件(既遂3097件)、142億3301万3550円の被害が出ているという。ちなみにこれは、ネットバンキングの不正送金被害の数倍の規模だ。
ネットがらみの代表的な架空請求詐欺といえば、有料サイトの利用料金が支払われていないなどといってメールやSMSを送りつけてくるタイプと、アダルトサイトなどでクリックしていくと、突然「登録完了しました」という画面になり、高額な料金を請求するタイプだ。どちらも、不安を覚えて電話をかけてきたユーザーを言葉巧みに欺き、コンビニなどで販売しているギフト券を購入させて番号を伝えるよう指示する手口が主に用いられている。そして、こうしたトラブルを解決しようとネットで相談先や解決方法を検索した結果、別のトラブルに巻き込まれてしまうケースも多発しているという。
国民生活センターの発表資料によると、「無料相談」「返金可能」をうたう窓口に相談したところ、実際には探偵業者に「アダルトサイト業者の調査」を数万円で依頼しており、アダルトサイト業者からの返金もなかった、といった相談が急増しているという。発表資料では、次のような事例が紹介されており、架空請求詐欺に勝るとも劣らない悪質さだ。
・「無料相談」「解決可能」のはずが、有料の企業調査だった
・「100%解決する」と言われ依頼した先が「消費者センター」ではなく探偵業者だった
・「高額な請求がある」「個人情報が流出する」と言われ不安になり、焦って依頼した
・「消費生活センターか」と尋ねたところ「公安委員会に届出している」と言われた
・依頼した1時間後にキャンセルを申し出たら、高額な解約手数料を請求された
警視庁の発表文によると、探偵業者から被害金の返還請求が実際に行われることはなく、詐欺罪に問われないよう適当に作成した報告書を依頼者に送りつけ、契約を履行したと主張するという。弁護士資格のない探偵業者や行政書士は、こうした問題を解決し、払ってしまったお金を取り戻すことができない。140万円までの回収だけならば、認定司法書士でも扱えるが、犯人を特定して交渉し、問題を解決するとなると絶望的だ。
不審なメールやSMSなどの差出人や連絡先、特徴的なフレーズなどをネットで検索すると、無視すればよい架空請求であることがわかる記事が見つかり、問題が解決することがある。ところが、同時に表示されるトラブル解決や相談を呼びかける探偵業者などの広告に惑わされて電話をしてしまうと、さらなる深みにはまってしまうことになるかもしれない。踏んだり蹴ったりという結果にならないよう、困ったときは、最寄りの消費生活センターなどにつながる消費者ホットライン(188番)や、最寄りの警察署につながる警察相談電話(#9110番)に電話することをお勧めする。
(2016/12/29 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「アダルトサイトとのトラブル解決」をうたう探偵業者にご注意!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20161215_1.html
・詐欺被害の解決・返金をうたう探偵業者(警視庁)
http://www.keishicho.metro.tokyo.jp/kurashi/higai/tantei_trouble.html