国民生活センターは6月29日、コンビニ払い(コンビニ収納代行)を悪用する架空請求詐欺で、仮想通貨購入用の口座に入金させる手口に関する相談が寄せられはじめているとして注意を呼びかけた。
架空請求は、サイトの閲覧中に突然「登録完了」などと表示したり、「有料サイトの利用料金が未納です」といった嘘のメールを送り付けたりするなどし、慌てて電話をかけてきた相手を脅し、支払う必要のないお金を騙し取る詐欺のこと。支払い方法には、以前は現金の送付や振り込みが、現在はコンビニでプリペイドカード(ギフトカード)を購入させ、カードの番号を伝えさせる手口がよく用いられている。
■コンビニ払いを悪用する新手口
コンビニ払いは、昨年から増加しはじめた新たな支払い手段で、詐欺業者は「支払い番号」を伝えてコンビニで支払うよう指示する。コンビニの店頭でその番号を伝える、または端末に番号を入力し出てきた用紙をレジに持って行きお金を払う。ネット通販などのコンビニ払いに使われている支払い方法で、実際に詐欺業者が買い物した代金を支払わせていた事例や、詐欺業者がネットオークションなどで空売り(自演の出品→落札)を行い、その代金を支払わせた事例などがあるという。
今回紹介している新手口は、このコンビニ払いで仮想通貨の購入用口座(ウォレット、アカウント)に入金させるやり方だ。仮想通貨は、円やドルなどの国が発行し価値を保証している通貨(法定通貨)ではないが、ネット上の取引などで本物の通貨と同じように利用できるものを指す。中でも有名なのがビットコインだ。
海外に行く際には日本円を外貨に両替するが、それと同じように、ネット上には法定通貨と仮想通貨の交換などを行う取引所と呼ばれるところがある。この取引所の口座に入金した円で仮想通貨を購入することで、法定通貨を仮想通貨に交換する。口座への入金方法には、一般的なクレジットカードや銀行口座からの振り込みのほかに、今回悪用されたコンビニ払いに対応している取引所がある。取引所の入金メニューから「コンビニ払い」を選び入金額を入力すると、コンビニの支払い番号が発行される。詐欺業者は、これを伝えてコンビニから入金させようとするのだ。
騙された利用者がレジで代金を支払うと、数分から数十分で詐欺業者が利用している取引所の口座に日本円が入金される。詐欺業者は、すぐにそれを仮想通貨に交換し、別の口座に送金していることが多いそうで、後から架空請求に気付いても被害を取り戻すことは困難だという。
■コンビニに行く前に公的機関に相談を
国民生活センターでは、コンビニでギフトカードの購入を指示されるのと同様、コンビニ端末の操作を指示された場合も絶対に応じないこと。電話口の詐欺業者は、威圧的な口調で怖い印象を与え、裁判をするなどと言って冷静に考える余地を与えぬまま支払いを急かすが、そのような場合は電話をすぐに切り、再度かかってくる電話も無視することをアドバイスしている。
不安に思うことがあった場合や執拗な請求、脅しなどのトラブルにあった場合などは、すぐに消費生活センターや警察に相談していただきたい。最寄りの消費生活相談窓口を紹介する「消費者ホットライン」は、全国共通の電話番号「188」番で。「警察相談電話」は、全国共通の短縮ダイヤル「#9110」番で受け付けている。
なお、ネットで検索すると詐欺被害の相談窓口らしきサイトが多数出て来るが、問題を解決できないまま費用を請求されるトラブルが増えているので注意したい。相談は、無料で安全な公的機関の相談窓口である「消費者ホットライン」か「警察相談電話」を利用していただきたい。
(2017/07/03 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・コンビニ払いを指示する架空請求にご注意!第2弾-新たな手口として仮想通貨購入用の口座が詐欺業者に利用されています-(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20170629_1.html
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