警察庁は3日、振り込め詐欺など「特殊詐欺」の今年上半期の被害状況をまとめ発表した。インターネットがらみの被害に多い「架空請求詐欺」の認知件数は2668件で、前年同期の1605件から大きく増えた。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4類型から成る「振り込め詐欺」と、「金融商品等取引名目の詐欺」、「ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」、「その他の特殊詐欺」の計8類型を総称したものを指す。
警察庁によると、今年上半期に全国の警察が認知した特殊詐欺は8863件で、昨年の同じ時期と比べ37.6%増加。被害額はおよそ186億8000万円で、昨年同期より13億1000万円、6.5%減少したが、依然として高水準で推移している。
手口別では、オレオレ詐欺が3709件(+940件、+33.9%)、架空請求詐欺が2668件(+1063件、+66.2%)、還付金等詐欺が1986件(+424件、+27.1%)。この3類型で全体の94%以上を占める。オレオレ詐欺は、昨年減少したものの増加に転じた。架空請求詐欺と還付金等詐欺の認知件数は、昨年からの増加傾向が継続している。オレオレ詐欺と還付金詐欺の被害者が高齢者に集中しているのに対し、架空請求詐欺と融資保証金詐欺は高齢者以外の年齢層にも被害が見られる。
架空請求詐欺について見ると、被害額は58億4000万円で、前年同期(78億2000万円)を下回った。ただし前述の通り認知件数(2668件)は1.7倍に増加している。また、6割超にあたる1691件が、「有料サイト利用料金等名目」だった。
■「電子マネー型」の被害が急増、有料サイト利用料金名目で
被害金の支払い手段では、「電子マネー型」が1530件、7億8000万円と、件数、額ともに前年同期(480件、2億2000万円)の3倍以上に急増。99.4%が「有料サイト利用料金等名目」等の架空請求詐欺によるものだった。
電子マネー型とは、コンビニなどでウェブマネーやアマゾンギフト券などのプリペイドカード(マルチメディア端末で出力するシートタイプも)を購入するよう指示し、記載されている番号を撮影させてメールで送信させたり、入力させたり、電話で通知させたりする手口だ。
警察庁ではこの手口への対策として、コンビニと連携して電子マネー購入者への声かけや、カード等の配布による注意喚起を実施しているほか、関係省庁や資金決済団体との間でも詐欺被害防止に向けた協議を継続しているという。
(2017/08/16 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成29年上半期における特殊詐欺認知・検挙状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2017.pdf
・振り込め詐欺を始めとする特殊詐欺の被害状況(警察庁)
http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki31/higaijoukyou.html
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