消費者庁と東京都は10月30日、「あなたの写真が今すぐお金に変わる」「3日以内に3万円」などとうたって情報商材を販売し、さらに有料の特別コースへの勧誘を執拗に行うなどしていた「株式会社アイデア」(本店所在地:東京都渋谷区)について、不適正な取引行為を確認したとして消費者に注意を呼びかけた。
■「カシャカシャビジネス」で簡単に稼げるとアピール
注意喚起によると、アイデアは「カシャカシャビジネス」というサイトを開設し、SNSなどで同サイトへの誘導を行っていた。サイトには「月収200万円以上稼いでいる人もいます」「写真を撮ってそれを送る。いたって簡単たったそれだけ」「既に1万人以上が実証済み」などと記載。写真を撮ってインターネットにアップするだけで簡単にお金が稼げるかのように見せかけて消費者の関心を引き、「カシャカシャブック」という解説書(PDFファイル)を2万円で購入するよう誘っていた。
■「カシャカシャブック」→「電話サポート」→「特別コース」と誘引
カシャカシャブックには、「3日間でインスタグラムのフォロワーを●●人以上集めた方に、現金3万円をプレゼント」などと書かれており、詳細を知るためには電話サポートを受けなければならない。電話では、「カシャカシャビジネスは写真買取業者と連携を取っている。業者が欲しい写真を教えるので、その写真をインスタグラムに載せれば業者が買い取ってくれる」などと説明した上で、7~150万円を払って特別コースに入ると「インスタアップ」という集客ツール(アプリケーション)を使えるので稼ぎやすくなるとして、執拗にコース加入を勧誘していた。
同庁と都によると、このツールを使うとインスタグラムのフォロワーは増やしやくなるものの、写真を購入するかどうかは個々の閲覧者の判断であるため、実際にはカシャカシャビジネスは誰もが簡単に稼げるような仕組みにはなっていないという。
■相談者の平均契約額は約27万円、最高額100万円
同社のサイトには「カシャカシャブック通常価格10万円→今だけ会員様特別価格2万円」などと記載されていたが、過去にカシャカシャブックが10万円で販売されていた事実はなかった。さらに、サイトやカシャカシャブックには実際に稼げているとする人の体験談が多数記載されていたが、すべて虚偽のものだった。
10月31日付の毎日新聞によると、同社は今年1月以降、全国の4800人と契約し、8億円を売り上げていたという。都にはこの件について、昨年10月から今年10月26日までの間に23件の相談が寄せられていた。契約者の平均年齢は約47.9歳で、26歳から82歳までと幅広い。平均契約額は約27.4万円で、最高額は100万円だった。
アイデアの代表者は廃業する旨を申し立てており、カシャカシャビジネスのサイトは8月31日をもって閉鎖されている。ただし、10月18日現在、同社の商業登記については解散登記も清算人選任登記もなされていないという。
■「情報商材」の罠に注意、被害は今後も広がる恐れ
消費者庁は情報商材について、中身を見るまで内容が分からないことが多く、実際に得られる情報が想定していたものとは異なる場合、トラブルになることがあると指摘。「誰でも簡単に稼げます」「稼げなかったら返金します」などと消費者に都合の良いことだけを強調する事業者には、特に注意が必要だとしている。
また、「詳しくは電話でお問い合わせください」などと記載して、電話をかけてきた消費者に言葉巧みに他の商品やサービスを購入するよう執拗に勧誘し、その支払いを迫る事業者も存在するとして、お金を支払う前に商品やサービスの内容を書面等でしっかり確認してほしいとしている。
都は、アイデア以外にも情報商材に関する相談は数多く寄せられており、今後別の事業者が今回の事案と同様の手口で消費者被害を引き起こす蓋然性が高いとして、注意を呼びかけている。昨年度、都に寄せられた情報商材に関する相談は442件。今年度は10月26日の段階ですでに370件となっており、今後増加する可能性があるという。
(2017/11/09 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・「あなたの写真が、今すぐお金に変わる!」などとうたい消費者に情報商材等の購入を持ちかけ、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/pdf/consumer_policy_information_171030_0001.pdf
・「写真を撮るだけ3日で3万」などと広告を掲載して情報商材を販売する事業者に注意してください(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/10/30/08.html
・別添資料(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/tosei/hodohappyo/press/2017/10/30/08_01.html