警察庁は8日、振り込め詐欺など「特殊詐欺」の2017年の被害状況をまとめ、発表した。インターネットがらみの被害が目立つ「架空請求詐欺」は、前年から被害額が2割減るも、認知件数は倍増した。
特殊詐欺は、オレオレ詐欺、架空請求詐欺、融資保証金詐欺、還付金等詐欺の4類型から成る「振り込め詐欺」と、「金融商品等取引名目の詐欺」、「ギャンブル必勝法情報提供名目の詐欺」、「異性との交際あっせん名目の詐欺」、「その他の特殊詐欺」の計8類型を総称したものを指す。
■架空請求の認知件数倍増、被害額は127.9億円
2017年に全国の警察が認知した特殊詐欺は1万8201件(前年比+4,047件、+28.6%)で、前年から増加。被害額は390.3億円(前年比-17.4億円、-4.3%)と3年連続で減少したものの、依然として高水準が続いている。最も多い手口がオレオレ詐欺で、認知件数は8475件(+2722件、+47.3%)、被害額203.4億円(+36.2億円、+21.7%)と増加した。
次いで多い手口が架空請求詐欺で、インターネットがらみの特殊詐欺被害の多くがこれにあたる。1年間の認知件数は5754件(+2012件、+53.8%)、被害額は127.9億円(-30.4億円、-19.2%)。被害額は減ったものの認知件数は倍増し、ともに架空請求が全体の約3割を占める。認知件数は、2004年以来の最高値だ。オレオレ詐欺の9割以上を高齢者が占めるのに対し、架空請求は若年層から高齢層まで幅広い世代が被害にあっているという。
■架空請求の6割が「有料サイト利用料金等名目」、電子マネー型の被害急増
架空請求の中でも特に被害が多いのが、「有料サイト利用料金等名目」という形態(文言)に分類されているもので、認知件数3501件(+1644件、+88.5%)は、架空請求全体の60.8%にあたる。有料サイトの利用料金が支払われていないなどといって電話をかけるよう誘導する、SMS(ショートメール、ショートメッセージ)やハガキが昨年に入ってから急増しており、今年に入ってからも続いている。
架空請求の支払いには、電子マネーが使われることが多く、電子マネー型の特殊詐欺は、2914件(+1650件、+130.5%)、被害額15.5億円(+7.9億円、+104.1%)と大幅に増加している。コンビニエンスストアなどで販売している、アマゾンのギフト券などのプリペイドカードを購入させ、記載された番号を撮影して送らせるなどの方法で額面の金額を窃取する手口だ。下半期には、コンビニエンスストアの収納代行(コンビニ決済、コンビニ払い)を使った、収納代行利用型(924件、8.3億円)も急増したという。被害額の比較的小さい犯行が多数回行われる傾向にあるそうで、気付いた時には、数百万~数千万円の被害額になってしまった事例も多々ある。
アマゾンやヤフーなどの実在する企業を装う架空請求SMSやメール、「民事訴訟管理センター」などと称する架空請求ハガキが、不特定多数あてに毎日ばらまかれている。何かの間違いではと確認したいところだが、記載され連絡先には絶対に連絡してはいけない。心配な方は、最寄りの消費生活相談窓口を紹介する「消費者ホットライン」(電話番号「188」番)、または「警察相談電話」(短縮ダイヤル「#9110」番)に電話しよう。いつでも無料で相談にのってくれる、安全で確かな公共機関だ。
(2018/02/09 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・平成29年における特殊詐欺認知・検挙状況等(暫定値)について[PDF](警察庁)
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei2017.pdf
・平成29年12月の特殊詐欺認知・検挙状況等について[XLSX](警察庁)
https://www.npa.go.jp/bureau/criminal/souni/tokusyusagi/hurikomesagi_toukei.xlsx