全国の消費生活センターなどに寄せられた2017年度の仮想通貨についての相談件数が、前年度の3倍以上に増えたとして、国民生活センターが注意を呼びかけている。
同センターの発表によると、全国の消費生活センターに寄せられる相談情報収集を行っているシステム「PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)」に、3月31日までに登録された2017年度の仮想通貨に関する相談件数は2666件。前年度の相談件数847件の3倍以上に増加している。
儲かると勧められて仮想通貨に投資したが儲からないといった、投資話に関する相談が多いなか、最近ではICO(仮想通貨による資金調達)やマイニング(取引履歴の管理と承認・確認作業を行うこと)への投資に関する相談、仮想通貨交換業者に関する相談も寄せられるようになったという。
仮想通貨関連の投資は、実態の確認や将来性の判断が難しいうえ、話題性に便乗した詐欺的な投資話もあるという。同センターは、実態や内容を十分把握できない場合や不安がある場合には、取引をしないよう呼びかけている。また、取引を行うにあたっては、取引に伴うリスクを十分理解したうえで、その事業者が仮想通貨交換業の登録業者であるかどうかを、金融庁のウェブサイトで必ず確認をするよう求めている。
■ユーザーも自衛策を
同センターが公表している相談事例の中には、不正アクセスによる仮想通貨の消失や誤送金といったものもある。事業者側の対応にも問題点は多いが、ユーザー側での自衛も重要だ。不正ログインの防止には、他のサービスと重複しない強固なパスワードを設定するとともに、必ず2段階認証を有効にしていただきたい。2段階認証は、通常のパスワード認証に加え、その都度SMS(ショートメッセージ)で送られて来る、あるいはアプリで生成する番号を入力して認証を行うことで、不正ログインや不正送金のリスクを低減する。ただし、ユーザーとサービスの間に割り込み、リアルタイムに操作する「中間者攻撃」には弱いので注意したい。
中間者攻撃は、偽のサイトに誘導するフィッシングやマルウェア感染によって仕掛けられることがある。今月に入ってからも、検索サイトの検索結果に表示された広告経由で、本物そっくりの偽サイトに誘導される事例が確認されている。公式ストアで配布されていたブラウザの拡張機能が送金先のアドレスを勝手に書き換え、仮想通貨を窃取されてしまうという事件も起きている。いくら注意していても回避できず、セキュリティソフトも当てにならないケースが多々あるが、自分でできる限りの対策をとっておきたい。
同センターでは、不安に思ったりトラブルにあったりした場合には、消費生活センター(電話番号「188」番)や、警察相談電話(短縮ダイヤル「#9110」番)へ相談するよう勧めている。
(2018/05/08 ネットセキュリティニュース)