消費者庁は6月29日、アマゾンをかたる架空請求が止まないとして、昨年11月に続く2度目の注意喚起を行った。前回の注意喚起後も、被害の発生や拡大が止まないという。
身に覚えのない料金を請求する架空請求の被害は、昨年急増し、警察庁のまとめでは、認知件数が5754件(前年から2012件増)、被害額は127.9億円(30.4億円減)だった。被害額は減ったものの認知件数は倍増しており、2004年以来の最高値を記録した。
中でも特に被害が多いのが、有料サイトの利用料金の支払いを求めるもので、架空請求全体の6割をこのタイプが占める。有料サイトの利用料金が支払われていないなどといって電話をかけるよう誘導する、SMS(ショートメール、ショートメッセージ)やハガキが昨年に入ってから急増しており、最近は、いきなり電話をかけて来る手口も登場している。
SMSを使う手口では、アマゾンをかたるものが突出しており、過去半年間の筆者の観測では、架空請求SMSの約6割を占める。年度の変わり目を境に流量が4割ほど減少したものの、まだまだ高止まりが続いている。
メッセージは文字数の制限があるため、おおむね「事由、措置、事業者名、電話番号」という形式になっており、アマゾンをかたるSMSでは、以下のようなパーツがよく使われている(それぞれ過去半年間の上位5件)。
<事由>
1位:有料動画の未納料金が発生しています。
2位:コンテンツ利用料金の精算確認が取れません。
3位:登録料金の未納が発生しております。
4位:会員登録の未納料金が発生しております。
5位:有料サイト使用に対して未納料金が発生しています。
<措置>
1位:本日中にご連絡なき場合、法的手続きに移行します。
2位:本日ご連絡なき場合には法的手続きに移行致します。
3位:本日中にご連絡なき場合法的手続きに移行致します。
4位:本日中にご連絡がない場合、法的手続きに移行します。
5位:本日ご連絡なき場合は法的措置に移行します。
<事業者名>
1位:アマゾンジャパン(株)
2位:アマゾンマーケッティングサービス
3位:アマゾン(株)受付センター
4位:アマゾンサポートセンター
5位:アマゾンジャパン相談係
SMSに「未納」「本日」「連絡」「法的手続き」と書かれていたら、まず間違いなく架空請求ということだ。ちなみに「電話番号」は、約半数がその日限りの使い捨てだった。81.3%は2日以内に、91.4%は4日以内に使われなくなり、1週間以上使い回したのは全体の4.2%だった。消費者庁の発表によると、SMSに記載された電話番号の契約先は、電話回線の転売を行う事業者であり、こうした業者を複数介することで、発信元が簡単に分からないようにしているという。
■架空請求は無視
消費者庁の発表によると、アマゾンをかたる事業者に連絡をすると、「何度も偽りの説明をして執拗に支払いを求める」「素直に支払いに応じない消費者に対しては、いったん金銭を支払っても、後で返金されると欺く」「ギフト券などのプリペイド式の電子マネーでの支払いを求める」「いったん支払いに応じると、さらに金銭の支払を要求してくる」といった特徴があるという。不安になって連絡してくる人を騙すのが詐欺師の策略なので、SMSやメール、はがきが届いても、記載された電話番号に連絡したり、返信したりせずに無視すること。誤って電話をしてしまったり、相手から電話がかかってきたりしても、その場で支払いに応じてしまうことのないよう注意していただきたい。
心配な方や「おかしい」と思った方は、最寄りの消費生活相談窓口を紹介してくれる「消費者ホットライン」(電話番号「188」番)や、「警察相談電話」(短縮ダイヤル「#9110」番)に電話をかけると、いつでも無料で相談にのってくれる。
(2018/07/03 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・SMSを用いて有料動画等の未納料金の名目で金銭を支払わせようとする「アマゾンジャパン合同会社等をかたる架空請求」に関する注意喚起[PDF](消費者庁)
http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/pdf/consumer_policy_information_180629_0001.pdf