ひところに比べると少なくなっていた、偽のセキュリティ警告を表示する広告が、4月頃からまた目立つようになった。これに伴い、騙されて購入したりサポート契約をしたりしてしまう人が増えているようだ。
情報処理推進機構(IPA)は18日、偽のセキュリティ警告によって有償の「ソフトウェア購入」や「サポート契約」をしてしまう相談が増加しているとして、注意を呼びかけた。この手口は、「ウイルスに感染しています」「システムが破損しています」などの偽の警告画面をパソコンに表示し、最終的にソフトウェアの購入やサポート契約に誘導するもの。偽の警告画面は、主にWebサイトが掲載している内容が動的に変化する広告に紛れて配信されており、最近では、2016年から2017年にかけて急増した。
その後しばらく下火になっていたが、春ごろから再び配信が増えているようで、「おめでとうございます」という当選系のインチキ広告とともに、ネット上で騒がれている。尾木ママこと教育評論家の尾木直樹氏も、先ごろ偽の警告画面に騙されてしまったようで、17日付の自身のブログで報告している。
有償ソフトウェアを購入させる手口は、10年以上前から続いており、無料のセキュリティソフトやメンテナンスソフトをインストールするよう誘導する。インストールして実行すると、多数の問題が報告され、解決手段として有償版の購入を迫る。
有償サポートの方は、2015年頃に登場した新しい手口で、記載した連絡先に電話をかけさせ、オペレーターが遠隔操作でのサポートを有償で行うというもの。電話をかけると、オペレーターが片言の日本語で対応し、遠隔操作ソフトのインストールへと誘導する。それを使用して遠隔操作でサポートと称する作業を行い、代金の請求やその後のサポート契約を持ちかけてくる。
IPAによると、2017年の年末頃から、これら2つの手口を複合化した相談が確認されるようになったという。偽の警告画面から有償ソフトウェアの購入に誘導し、さらに電話をかけさて遠隔操作による有償サポート契約の誘導を持ちかけてくるのだそうだ。
IPAの発表では、2018年7月5日時点で相談の多いセキュリティソフトとして、次のものをあげている。Windows版が多数あるが、おそらく同じソフトウェアの名前の異なるバージョンだろう。
Auto Fixer Pro 2018(Windows)
Auto Mechanic 2018(Windows)
Speedy PC Pro 2018(Windows)
Boost PC Pro 2018(Windows)
Identity Protector(Windows)
Smart PC Care(Windows)
Advanced Mac Cleaner(Mac)
Mac Keeper(Mac)
前掲のように偽の警告画面は、主にWebサイトに表示している広告に紛れてある日突然配信されてくる。人気の高い大手のサイトでも確認されており、とどまるところを知らない。閲覧中に突然警告画面が表示されても、慌てずに閉じれば問題は解消される。
パソコン用のブラウザの場合は、開いているページのタブの左右どちらかにある[X]印をクリックする。マウスの右クリックや[Control]キーを押しながらクリックしてコンテキストメニューを出し、[タブを閉じる]を実行する方法や、[Ctrl]キーまたは[Command]キーを押しながら[W]キーを押す方法などもある。
スマホ用のブラウザの場合は、画面の最上部か最下部にあるタブアイコンをタップしてタブの一覧を表示し、閉じたいタブの左右どちらかにある[X]印をタップする。
コンテンツブロック機能をサポートしたブラウザやブラウザの拡張機能(アドオン)を使用することで、偽の警告画面を含む広告そのものの表示を低減することもできる。心配な方は、検討してみるとよい。
(2018/07/19 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・偽のセキュリティ警告によって有償の「ソフトウェア購入」や「サポート契約」を
してしまう相談が増加中(IPA)
https://www.ipa.go.jp/security/anshin/mgdayori20180718.html
・不覚 不覚 ‼️PCハッキング詐欺にひっかかる!(尾木ママ オフィシャルブログ)
https://ameblo.jp/oginaoki/entry-12391313075.html
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・ネットのインチキ広告にご用心、課金サイトやアプリの罠(2018/06/28)