パソコンやスマートフォンで使用する有料アプリの中には、月単位や年単位で使用料を支払うサブスクリプション(定期購入)型のものがある。この手のアプリには、解約し忘れると無料のお試し期間から有料サービスに自動的に移行し、えんえんと課金が続くものがあるので注意したい。
有料アプリには、一度支払うとずっと使えるものと、月額や年額の課金が発生するものとがある。ショップで売られている旧来からのパッケージ製品は前者が主流だったが、マイクロソフトのOffice 365やアドビシステムズのCreative Cloudなどに代表される、サブスクリプション型のものも増えてきた。アップルやグーグルの公式アプリストアもサブスクリプション型のアプリ販売に対応しており、有効な支払い方法が設定されたアカウントで、購入や継続的な支払いが行えるようになっている。
今年になって、アップルの公式ストアで全てのアプリに無料のお試し期間(無料トライアル)が設定できるようになったが、この無料トライアル付きのサブスクリプション型アプリで、ちょっとしたトラブルが発生している。無料のアプリのつもりでトライアルに登録し、トライアル中に解約しなかったために定期的な課金が発生してしまうケースが続出しているのだ。
無料トライアル付きのサブスクリプション型アプリは、ダウンロード時に購入手続きは発生せず、無料アプリと同じようにインストールし、アプリの起動後にアプリ内課金の仕組みを使って無料トライアルに登録する。登録しなくても機能制限付きで利用できるアプリがある一方で、大した機能もないのに執拗に登録させようとするアプリもあり、言われるままに、よく確かめずに登録してしまう人がいるようだ。手続きに際しては、無料期間や終了後の課金情報が明記されており、登録後にはお知らせメールも来るのだが、知らない間に勝手に課金されたという声が後を絶たない。先に進む際には、記載事項を必ず確認していただきたい。
■購入時の認証は必須
アップルやグーグルの公式アプリストアでは、購入時に認証を行うように設定することができる。認証するように設定しておけば、有料アプリやアプリ内課金の誤操作を防ぐことができるので、設定しておくことをお勧めする。
<アップル>
端末の[設定]アイコンから[ユーザ名]→[iTunes StoreとApp Store]→[パスワードの設定]に進む。[購入とApp内課金]の項目で[常に要求]を選択すると、購入のたびに認証を求めるようになる。
<グーグル>
端末の[Playストア]アイコンを開き、左上のメニュー(≡)から[設定]→[購入時には認証を必要とする]に進む。[この端末でGoogle Playから購入するときは常に]を選択すると、購入のたびに認証を求めるようになる。
■Touch IDのうっかり認証多発
サブスクリプション型アプリに関するトラブルは、購入の認証にiPhoneなどの指紋認証「Touch ID」を設定している人に多く見受けられるようだ。公式アプリストアでの購入時の認証は、そのアカウントのパスワードで行うのが基本だが、アップルは端末の指紋認証(Touch ID)と顔認証(Face ID)に、グーグルは端末の指紋認証にも対応している。
アプリ内から購入を選択すると、それぞれの設定に応じたストアの確認画面が表示される。Touch ID認証以外は、この確認画面で承認ボタンや購入ボタンのタップ、iPhoneのサイドボタンの2度押しを行うと、パスワード入力などの認証プロセスが始まる。ところがTouch ID認証の場合には、この確認ページで認証を行うようになっているため、うっかりセンサーに触れると購入が完了してしまう。心の準備なしの危うい仕様なのだ。
<アプリ内課金の認証手順>
・アップル(パスワード認証)
確認画面→[承認ボタン]→パスワード認証→購入完了
・アップル(Face ID認証)
確認画面→[端末のサイドボタン2度押し]→Face ID(顔)認証→購入完了
・アップル(Touch ID認証)
確認画面→Touch ID(指紋)認証→購入完了
・グーグル(パスワード認証)
確認画面→[購入ボタン]→パスワード認証→購入完了
・グーグル(指紋認証)
確認画面→[購入ボタン]→指紋認証→購入完了
iPhoneなどのiOS端末の[設定]アイコンから[Touch IDとパスコード]や[Face IDとパスコード]へと進むと、Touch IDやFace IDの使用を制御できる。[iTunes StoreとApp Store]がオンの場合には、これら認証が優先的に行われ、認証できなかった場合にパスワード認証へと移行する。設定をオフにしておけば、購入時は最初からパスワード認証になる。ストアの使い勝手は多少悪くなるが、誤操作は減るだろう。
ちなみにグーグルの場合は、端末の[Playストア]アイコンを開いて左上のメニュー(≡)から[設定]に進み、[指紋認証]にチェックを入れると指紋認証が利用できるようになる。
■アプリ内課金の無効化
iPhoneなどのiOS端末の場合は、アプリ内課金だけを制限することもできる。[設定]アイコンから[スクリーンタイム]→[コンテンツとプライバシーの制限]に進み、[コンテンツとプライバシーの制限]をオンにする。同じ画面の[iTunesおよびApp Storeでの購入]に進み[App内課金]をオフにすると、アプリ内課金が利用できなくなる。
■サブスクリプションの解約
無料トライアルやサブスクリプションは、ストアを利用しているアカウントに対して設定されるので、アプリをアンインストールしても中止にはならない。期間内に解約(登録を解除)しなければ課金が始まり、解約するか支払い不能になる、あるいはアプリがストアから削除されるまで、定期的な課金が続くので注意したい。ストアの機能を使ったサブスクリプションは、以下の手順で確認や解約が行える。
<アップル>
端末の[設定]アイコンから[ユーザ名]→[iTunes StoreとApp Store」→[Apple ID:自身のメールアドレス]と進み、[Apple IDを表示]を選択する。[登録]に進むと、登録されているアプリなどが表示されるので、解約したいアプリを探してタップする。[トライアルの解除]や[登録をキャンセルする]をタップするとサブスクリプションが解約され、トライアル期間からの自動移行や自動継続が行われないようになる。
<グーグル>
端末の[Playストア]アイコンを開き、左上のメニュー(≡)から[設定]→[定期購入]に進む。一覧から解約したいアプリを探してタップし、[定期購入を解約] をタップするとサブスクリプションが解約され、トライアル期間からの自動移行や自動継続が行われないようになる。
(2018/10/23 ネットセキュリティニュース)
【参考URL】
・定期購読内容を表示・変更・解約する(アップル)
https://support.apple.com/ja-jp/HT202039
・Google Play での定期購入を解約または変更する(グーグル)
https://support.google.com/googleplay/answer/7018481