東京都は10日、仮想通貨ビットコインのマイニングにより「毎月最低30万円のビットコインを受取り続けることが出来る」「“ほったらかし”の状態で毎月お金が受け取れる」などと広告し、容易に高額の収入が得られるとうたうアプリ等を販売していた「リード」(東京都新宿区、熊本悠介代表)に業務の一部停止(3か月)を命じ、違反行為是正を指示した。
同社に対しては消費者庁が8月28日、消費者の利益を不当に害するおそれがあるとして注意喚起を行っている。
■SNSや動画共有サイトに広告――アプリ購入で「毎月最低30万円」と勧誘
都と消費者庁の発表によると、同社はSNSや動画共有サイトに広告を出すなどして、同社が運営する「ビットコインジャパンプロジェクト」のサイトに誘導。仮想通貨のマイニングをするとうたうアプリ「オートビットチャージ」を購入するよう誘っていた。サイトでは同アプリ(10万円)や、アプリがインストールされたタブレット端末(20万円)を購入するだけで、毎月最低30万円分のビットコイン収入が安定的に得られるかのように広告していた。
同アプリは、実際には海外のマイニングサービスに接続する機能しか持っておらず、このサービスは同アプリを購入しなくても利用できるものだった。また、このマイニングサービスを利用するには、アプリの代金の他に最低0.1ビットコインを支払う必要があった。さらに、同社が広告する「毎月30万円相当以上のビットコイン」を受け取るためには、多額のビットコインを投資しなければならなかった。
同プロジェクトのサイトには「300名以上のメンバー全員が毎月30万円以上のビットコインを受け取っている」と記載されていたが、このような事実はなかった。また、「藤田真一」と称する人物が同プロジェクトを考案し、同アプリを15億円かけて開発したとうたい、勧誘目的の動画で語らせるなどしていたが、「藤田」は、同社がカリスマ的な指導者を演じさせる目的で作り上げた架空の人物だった。
■1年足らずで売り上げ約7億円――被害相談の平均年齢45歳、平均契約額44万円
各紙の報道によると、消費者庁には同社に関する相談が128件寄せられ、被害額の合計は約2000万円。同社は消費者庁に、2017年11月以降で約7億円を売り上げたと説明したという。都には2015年度以降33件の相談が寄せられ、相談者の平均年齢は45歳(20~73歳)、平均契約額は44万円(10万円~150万円)だった。
消費者庁は、「リード」以外にも、仮想通貨を利用して稼げるとする商品やサービスに関する相談が多数寄せされていることから、別の事業者が今回と同様の手口で被害を引き起こす蓋然性が高いと指摘。簡単に大金が得られるような表現があれば、まずは疑い、契約をする前に冷静に考えるようにと呼びかけている。
また、取引について不審な点があった場合は、お金を支払う前に各地の消費生活センター等や警察に相談してほしいとしている。消費生活センター等では、消費者から相談を受け、トラブル解決のための助言やあっせんを無料で行っている。消費者ホットライン(局番なしの「188」)に電話すると、最寄りの消費生活センター等を案内してもらえる。警察の相談専用電話は、局番なしの「#9110」。
都は、仮想通貨の話題性に便乗した、「億り人になれる」「誰でも簡単に儲かる」と書かれた広告を見て、アプリや情報商材を購入したが全く儲からない、事業者と連絡が取れなくなった、といったトラブルが増加しているとして、事業者から十分な説明を受け、よく理解してから契約するようにと呼びかけている。
(2018/10/12 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・毎月最低30万円のビットコイン収入と称してアプリを販売する通信販売事業者に業務停止命令及び指示(東京都)
https://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/torihiki/shobun/shobun181010.html
・「毎月最低30万円分のビットコインを受け取り続けることができる」などとうたい、多額の金銭を支払わせる事業者に関する注意喚起[PDF](消費者庁)
https://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/information/pdf/consumer_policy_information_180828_0001.pdf