国民生活センターは9日、本年度上半期(4月~9月)に寄せられた架空請求に関する相談件数をまとめ発表した。前年同期の6万5315から11万8544と、約1.8倍の増加となっている。
PIO-NET(全国消費生活情報ネットワークシステム)に寄せられる架空請求に関する相談は、2003年から2004年にかけて激増し社会問題化した。その後減少したものの2012年ごろから再び増加に転じ、昨年度(2017年4月~2018年3月)の相談件数は、前年度の8万3491件から19万9537件へと、約2.4倍の大幅な増加となった。本年度の上半期は、さらに約1.8倍の増加となっており、年末年始に向けてさらなる増加が懸念される。
利用した覚えのない請求は、ある日突、電子メールやSMS、ハガキ、封書などの様々な手段を使って舞い込んで来る。未払いの料金があるなどといい、訴訟をちらつかせて電話をかけさせようとするのが、現在主流の手口だ。
電子メールは、往時の勢いはないものの、未だにばらまきが続いており、実在する企業やサービスを名乗るものもあれば、何の請求なのかよく分からないものもある。弁護士や債権回収業者を装うものも多く、リンク先で偽の訴状を見せて不安をあおる手口も使われる。
SMSは、携帯電話番号あてに短文を送る機能で、番号の組み合わせで不特定多数に送ることができ、メールよりもはるかに広範囲にばらまかれている。文字数に制限(日本語で70文字)があるため、「コンテンツ利用料金の精算確認が取れません。本日ご連絡なき場合には法的手続きに移行致します。」というような短文に電話番号を記載したものが届く。実在する企業を装うものでは、アマゾンが過半数を占めるが、11月に入ってからは、楽天やDMMを装うものも増えてきている。少数ではあるが、メールと同様に弁護士事務所などを名乗るものもある。
かつては主流だった郵便ハガキによる架空請求が、前年から急増しており、全国の都道府県警からも再々、注意喚起が出されている。今年に入ってからは、封書を使用したものも多発している。法務省の関係機関を装い「少額消費料金未納に関する訴訟最終告知のお知らせ」などと題したハガキや封書が送られ、訴訟取り下げの相談にのるとして、記載した連絡先に電話をかけさせるように仕向ける。
手段はいろいろだが、いずれも連絡して来た人を言葉巧みにだまし、支払わせようとする手口だ。支払い方法も様々で、かつての口座振込のほか、現在はプリペイドカードやコンビニ決済がよく用いられている。前者は、コンビニでプリペイドカード(ギフト券)を購入させ、カード番号を連絡させて騙し取る方法。後者は、「コンビニ収納」を悪用した手口で、支払番号を伝えてコンビニの端末やレジで支払う方法だ。
ATMやコンビニに行くよう指示されたら、まず詐欺を疑っていただきたい。もちろんその前に、身に覚えのない請求は無視すること。覚えがあっても、相手に連絡せず身近な人に相談することを徹底したい。不安なことや困ったことなどがあれば、最寄りの消費生活センター(電話番号「188」番)や警察相談電話(短縮ダイヤル「#9110」番)でも相談を受け付けている。
(2018/11/22 ネットセキュリティニュース)
【関連URL】
・相談事例・判例 > 各種相談の件数や傾向 > 架空請求(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_topics/data/kakuseikyu.html
・「利用した覚えのない請求(架空請求)」が横行しています(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/soudan_now/twoshotto.html
・法務省の名称等を不正に使用した架空請求により被害が発生しています(法務省)
http://www.moj.go.jp/hisho/kouhou/hisho06_00434.html
・「法務省管轄支局 国民訴訟通達センター」からの封書による架空請求は無視してください!(国民生活センター)
http://www.kokusen.go.jp/news/data/n-20181031_1.html
・【注意】楽天カスタマーサービスを装った不審なSMSにご注意ください(楽天市場)
https://ichiba-smp.faq.rakuten.net/detail/000010079
・振り込め詐欺などにご注意ください(アマゾン)
https://www.amazon.co.jp/gp/help/customer/display.html?nodeId=202029300
・ギフト券詐欺にご注意ください(アマゾン)
https://www.amazon.co.jp/b/?node=4048518051