電気通信事業者協会や日本インターネットプロバイダー協会など電気通信関連4団体は5日、「インターネット上の自殺予告事案への対応に関するガイドライン」を策定し公表した。ネットを通じた自殺予告や集団自殺仲間の募集などに対して迅速に対応するため、総務省と警察庁の協力を得て策定したもの。
ISP(インターネットサービスプロバイダー)は、電気通信事業法により「通信の秘密」を保護することが義務づけられており、掲示板などで自殺予告をしている当事者について、警察から緊急に発信者情報の照会を受けても、すぐに応じることは難しかった。同ガイドラインでは、自殺予告に関しては自殺の防止という人命保護の観点から、警察に対して迅速な発信者情報の開示を可能としている。
開示の基準を刑法の「緊急避難」の要件を満たす場合と明記し、判断基準についても、書き込み内容から自殺決行日が切迫していると認められる場合などと具体的に示している。情報開示の手続きも迅速化し、開示基準を満たせば裁判所の捜査令状がなくても警察からISPへ所定の文書で連絡すればよいとしている。電子掲示板の書き込みのほか、電子メールで自殺予告があった場合も対象となる。
4団体では、同団体に所属しないプロバイダーや掲示板を管理している個人などにも、同ガイドラインを参考に、自殺防止対応をはかるよう呼びかけている。
(2005/10/06 ネットセキュリティニュース)
■発表資料
・インターネット上の自殺予告事案について適切かつ迅速な対応を促進する取組(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2005/051005_4.html
・「インターネット上の自殺予告事案への対応に関するガイドライン」の公表について(電気通信事業者協会)
http://www.tca.or.jp/japan/news/051005.html
・インターネット上の自殺予告事案への対応に関するガイドライン[PDF](テレコムサービス協会)
http://www.telesa.or.jp/consortium/other/guideline_suicide_051005.pdf
■セキュリティ関連ニュース
・自殺予告者の発信者情報開示、通信業界がガイドライン策定(2005/08/26)