平成18年上半期の「サイバー犯罪の検挙及び相談状況」、および「不正アクセス行為の発生状況」が警察庁より発表された。
サイバー犯罪の検挙件数は、1,612件から前年同期比で11.8%増加し、計1,802件にのぼった。内訳としては「不正アクセス禁止法違反」が前年同期比33.8%増の256件と大きく増加しているが、依然として詐欺や児童買春・ポルノ法違反などの「ネットワーク利用犯罪」が全体の8割以上を占めている。
都道府県警察のサイバー犯罪相談窓口に寄せられた相談件数は3万565件で、前年同期より39.5%減少した。詐欺や悪質商法に関する相談は大きく減少したが、名誉毀損、誹謗中傷に関する相談は前年同期比39.1%の増加、迷惑メールに関する相談も同24.6%の増加となっている。
サイバー犯罪の中でもとくに目立って増加した「不正アクセス行為」は、すべてパスワードの不正入手によるもので、セキュリティホールの攻撃を利用した犯罪はなかった。不正アクセスの利用先としては、「なりすまし」によるネットオークションでの不正操作が全体の8割を占め、ついでオンラインゲームの不正操作、インターネットバンキングの不正送金・出金、ホームページの改ざん・消去と続いている。
パスワード等の入手手口としては、容易に推測される安易なパスワード設定を狙ったもの、管理の甘さにつけこんだものが最も多かった。また、フィッシングサイトを開設してパスワードを入力させるなど、コンピュータ技術を悪用し盗み出すタイプの手口は、上半期だけですでに前年の1事件(1件)を超える4事件(102件)となっており、大幅な増加が目立っている。
警察庁では利用者に対し、IDやパスワードをしっかり管理すること、フィッシング詐欺に騙されないこと、ウイルスやスパイウエア対策のためのソフトウエアを利用することなど、サイバー犯罪の被害者にならないための注意を呼びかけている。
(2006/08/22 ネットセキュリティニュース)
■平成18年上半期の不正アクセス行為の発生状況等について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf32.pdf
■平成18年上半期のサイバー犯罪の検挙及び相談状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h18/pdf31.pdf