ファイル交換ソフト「Winny(ウィニー)」による情報の流出が続いている。防犯・防災設備の設計などのエスエスイーでは業務に関連した個人情報が、神戸の県立高校では生徒の成績が流出した。こうしたWinnyによる情報流出対策として、総務省は来年度予算概算要求に16億円を新たに盛り込んだ。
■エスエスイー、1,455件の個人情報流出
防犯・防災設備の設計などのエスエスイー(東京都中央区)は8月30日、同社の元従業員の私有パソコンがウイルスに感染し、同社の業務に関連する情報などがネット上に流出したと発表した。発表によると、当該情報は同従業員が違法に持ち出したもので、個人情報1,455件が含まれている。
同社は外部から情報が流出している旨の連絡を受けて、ただちに社内に対策本部を設置し、当該パソコンを保全。外部の専門家とともに事実関係の調査と原因究明を行った結果、当該情報が約2日間にわたりウィニ-ネットワーク上で開示されていた事実を確認したという。同社は当該顧客に謝罪するとともに、心当たりのない請求などに注意するよう呼びかけている。また、情報管理の運用ルールなどを強化して再発防止に努めるとしている。
・お詫びとお知らせ(エスエスイー)
http://www.sse-net.com/apology.html
■兵庫の県立高校、講師の私有パソコンから生徒80名の成績流出
神戸市内の県立高校で、男性講師の私有パソコンから生徒80名の成績がネット上に流出したことがわかった。報道によると、男性講師が当該情報をメモリーにコピーして持ち出して自宅のパソコンで作業したところ、同パソコンがウイルスに感染して情報が流出。8月に外部から指摘を受けて発覚した。流出情報は生徒名と1学期の数学のテストの点数。当該生徒には家庭訪問や電話などで事情説明と謝罪がなされている。
兵庫県教育委員会は個人情報の持ち帰りを禁止していた。また、ファイル交換ソフトの使用についても、ウイルス感染による情報流出の可能性があるとして警告していた。同講師は今年4月から1年間の臨時採用だったが、8月末付で依願退職している。
・兵庫県教育委員会
http://www.hyogo-c.ed.jp/~board-bo/
●総務省、Winnyなどによる情報漏えい対策費に16億円を概算要求
Winnyによる情報流出が社会問題となっていることを受けて総務省は、8月30日に公表した平成19年度予算概算要求に、ファイル交換ソフトを通じた情報流出などに対する情報漏えい対策技術の研究開発費として16億円を新たに盛り込んだ。具体的には、ネット上に不正流出した情報を識別して削除するシステムを開発し、情報漏えいの被害を最小化する。2007年度に開発を開始。通信機器メーカーなどに協力を要請し、3年計画で技術の確立を目指す。
・平成19年度総務省所管予算概算要求の概要[PDF](総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2006/pdf/060830_1.pdf
(2006/09/07 ネットセキュリティニュース)