「疲労を回復させる」「質の高い眠りを提供」「ほこりや花粉を除去する」など、さまざまな効用がうたわれたマイナスイオン。ひと頃のブームが去り、2003年に改正された景品表示法(不当景品類及び不当表示防止法)で、効果や性能に対する合理的な根拠の提出が求められるようになってからは、そんなうたい文句も表舞台からは姿を消していた。ところがネット通販の世界では、相変わらずそうした広告が横行している。中には「血液をサラサラにする」などの、薬事法に抵触(※注)するような内容も見受けられるほどだ。
東京都は、昨年5月から今年2月にかけ、市販されているマイナスイオンをうたった商品のうち、ネット上で身体に対する効果・性能の優良性を強調して表示していた布団やマイナスイオン発生器、ネックレスなど7社8商品を選び、業者に表示の根拠について説明を求めるなどの調査を行った。その結果、8商品全てに広告内容の裏づけがないことが判明。都は11月27日、業者に対し適正な表示を行うよう指導するとともに、科学的根拠をうたったネット広告に注意するよう消費者に呼びかけた。
マイナスイオンはそもそも、科学的・学術的な用語として明確に定義されていない。都はまず、商品がどのようなものをどれくらい発生するのかを調査したところ、データや資料がなかったり、当該商品やその使用実態に即した試験結果ではないなど、実証データと認められるものが存在しなかった。効果・性能についても、当該商品が発生するマイナスイオンとの関連性は不明確であり、一見、科学的な根拠に基づくかのように見えても、実際には客観的な事実に基づくものではなかった。
マイナスイオン商品には数十万円の高額なものもあり、都は業者からの情報だけをうのみにせず、いろいろな情報を集めたり消費生活総合センターに相談するなどして商品やサービスを選ぶよう呼びかけている。
※注)病気の予防や治療に有効などとする内容は、薬事法に基づく承認・許可を取得しない限り表示することはできない。都が今回行った調査は、景品表示法の不当な表示(根拠のない内容や虚偽、誇大な内容)に対するもの。
(2006/12/01 ネットセキュリティニュース)
■科学的根拠をうたったネット広告にご注意(東京都生活文化局)
http://www.shouhiseikatu.metro.tokyo.jp/s_hogo/sisin/061127ion.html
■東京の消費生活(東京都生活文化局)
http://www.seikatubunka.metro.tokyo.jp/