最高裁判所は9日、裁判所をかたった架空請求メールを送りつけ、金銭の支払いを求める詐欺について警告した。同メールには最高裁判所認証局が発行した自己署名証明書のフィンガープリントが無断で引用されているが、メール自体は電子署名されていない。最高裁では、偽の督促に応じないよう注意を呼びかけている。
問題のメールは東京地裁民事第20部から送付された「支払命令」を装い、有料インターネットサービスの代金が未払いであるなどとして、現金2万3,500円を指定の口座への振込むよう求めるもの。「民事訴訟法の改定により、債務者の住所居所氏名が特定できなくても、電子メールアドレスを仮の居所として支払い命令を発行できる」「債務者に弁明の機会与えずに支払い命令を発行することが可能になった」など、受取人の不安を煽るような嘘が書かれている。
さらに、「裁判所からの告知を装う詐欺行為の対策」としてフィンガープリントに言及し、正当性確認の手段として、裁判所の「督促手続オンラインシステム」の当該ページURLを記載している。裁判所のページが詐欺を信用させる小道具として悪用されてしまったかっこうだ。
9日までに最高裁や東京地裁に4件の相談があったという。最高裁では、電子メールで支払い督促を送信することはないとして警戒を促している。
(2007/01/11 ネットセキュリティニュース)
■裁判所の名称をかたった電子メールによる架空請求等について(裁判所)
http://www.courts.go.jp/about/topics/1901_1.html
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