テレコムサービス協会、電気通信事業者協会、日本インターネットプロバイダー協会の3団体で構成される「プロバイダ責任制限法ガイドライン等協議会」は2月26日、プロバイダ責任制限法に基づく発信者情報開示の指針となる「プロバイダ責任制限法発信者情報開示関係ガイドライン」を策定、公表した。
インターネット上の情報によって、名誉毀損やプライバシー侵害、著作権や商標権の侵害などの権利侵害を受けた場合には、発信者に損害賠償などを求めることができ、プロバイダに対しては、発信者を特定するために必要な発信者情報の開示を求めることができる。ところが、開示請求に対する明確な判断基準がなかったため、裁判所の判断にゆだねる慎重なプロバイダも多かった。
ガイドラインは、この手続きや判断基準を明確化することにより、開示請求手続きの円滑な運用を目的としたもので、発信者情報の請求者は、ガイドラインに記載された開示請求書に必要事項を記載し、本人であることを確認できる資料と、権利侵害が明らかであることを示す資料をプロバイダに提出するとしている。
プロバイダはこれを受けて開示の判断を行うわけだが、ガイドラインでは請求者が満たすべき要件を明確にするとともに、過去に開示が認められた事例を交えながら、要となる権利侵害の明白性を判断する基準について多くのページを割いている。なお、開示に当たっては発信者の権利が不当に侵害されるおそれもあるため、開示するかどうかについては発信者に意見を聴くことを原則とし、同意が得られない場合や回答が得られない場合に権利侵害の明白性の判断を行い、判断が難しいケースにおいては、裁判所の判断に基づくことを原則としている。
(2007/03/02 ネットセキュリティニュース)
■プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報開示制度の円滑かつ適切な運用を支援する取組(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070226_4.html
■『プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン』公表について(テレコムサービス協会)
http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070226.htm
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