ユーザ自身がサーバにアップロードした楽曲を、自分の携帯電話にダウンロードして聴けるストレージサービスは著作権を侵害しないとして、イメージシティ(本社:東京都台東区)が日本音楽著作権協会(JASRAC、東京都渋谷区)を相手に、差止請求権が同社のサービス「MYUTA」に及ばないことの確認を求めた訴訟の判決で、東京地裁(高部眞規子裁判長)は25日、原告側の訴えを棄却した。
「MYUTA」は2005年11月、同社の前身コンピュータシティが始めたパソコンと携帯電話を連携する音楽データのストレージサービス。会員にはアクセスキーと専用のアプリケーションソフト「MUSIC UPLOADER」が付与され、当該ソフトを使用してパソコンに取り込んだCD楽曲などの音楽データを携帯電話用の音楽データに変換し、同社のサーバに保存。アクセスキーと携帯電話固有のキーを使って認証を行い、ユーザ自身の携帯電話でしかダウンロードできない仕組みになっており、同社は著作権法上で認められている私的複製の領域内のサービスと主張していた。
当該サービスに対し、JASRACは同協会の管理する楽曲の著作権がおよぶと指摘。同社はサービスをいったん終了し、著作権法の解釈を明確にすべく確認を求めて提訴していた。
判決では、同社の提供する専用ソフトを使って変換した音楽ファイルを、同社の管理・所有するサーバに保管し、そのサーバから会員ユーザの携帯電話に送信されていることなどから、当該サービスで行われる複製と公衆送信の主体が同社にあると認定。当該サービスに対し、同協会のもつ複製権および公衆送信権に基づく差止請求権がおよぶと判断した。
【過去の判例】
著作権侵害をめぐる同種のサービス差止請求では、過去に放送番組の録画・転送システムの判例がいくつかある。専用のソフトやハードを使用しシステムとして提供した、クロムサイズの「選撮見録」やエフエービジョンの「録画ネット」では、今回と同様に複製や送信の主体がサービスの提供側にあると判断。日本デジタル家電の「ロクラク」では、機器のレンタルそのものは合法だが、同社の管理場所に親機を設置しレンタルする事業に関しては同社が実質的に管理しているとして侵害を認定。市販のシステムであるソニーのロケーションフリー製品をユーザから預かる永野商店の「まねきTV」に関しては、サービス自体は侵害に当たらないとされた。
(2007/05/28 ネットセキュリティニュース)
■携帯電話向け音楽データのストレージ・サービス 音楽著作物の利用許諾が必要と判断 - 東京地裁が「MYUTA」運営会社の請求を棄却 -(日本音楽著作権協会)
http://www.jasrac.or.jp/release/07/05_3.html
■イメージシティ
http://www.imagecity.jp/