ウェブサイトに掲載したPDFファイルの黒塗り部分から、また機密情報が漏えいした。
マクラーレン・メルセデスのスパイ疑惑(※1)にからみ、FIA(国際自動車連盟)は19日(現地時間)、7月と9月に行われた世界モータースポーツ評議会の議事録をホームページで公開した。掲載された議事録は、マクラーレンとフェラーリが公開しないよう求めた部分を黒く塗りつぶしていたが、黒塗りの下には隠したつもりの文字が残っており、操作次第で閲覧できる状態にあった。
米国のセキュリティベンダーSunbelt Softwareは24日(現地時間)、同社の公式ブログでこの問題を取り上げ、黒塗り部分の文字がコピー&ペーストで読めてしまうことを指摘。PDFのコピー防止機能を使えば、このような事態は防げると主張した。
コピー防止機能を使えば、コピー&ペーストで閲覧する手はたしかに使えなくなるのだが、黒塗り問題はそれで解決できるほど単純ではない。今年4月、不二家がホームページに掲載したPDFファイルは、コピー禁止になっていたにもかかわらず、黒塗り部分から非公開にするはずの個人名が閲覧できてしまった(下記関連記事参照)。黒塗り部分の閲覧方法は他にもあり、コピー防止機能では防げないのだ。
もっとも単純で完璧な対処方法は、秘匿したい文字情報を物理的に削除し、ドキュメント上に残さないことである。アドビシステムズのPDF作成ツール「Acrobat」は、最新版のバージョン8から、黒塗り部分の情報を削除する「墨消しツール」をサポートした(Professional版と3D版のみ)。
先のFIAの議事録は、当初はバージョン5で作成したものが掲載されていたが、その後にバージョン8で作成したものに差し替えられている。見た目は同じ黒塗りだなのだが、黒く塗りつぶされた下には、もはや文字情報は残っていない。
※1)スパイ疑惑:F1グランプリに参加するマクラーレンのチーフデザイナーが、フェラーリの技術スタッフから機密情報を不正に入手したとして告発。7月に開かれた評議会では無罪となったが、その後に見つかった新証拠により9月に再度評議会を招集。マクラーレンに対し、今季の得点の剥奪と、F1史上最高額となる1億ドルの(約115億円)罰金を課す裁定を下した。
(2007/09/28 ネットセキュリティニュース)
■World Motor Sport Council Transcripts[英文](FIA)
http://www.fia.com/mediacentre/Press_Releases/FIA_Sport/2007/September/190907-01.html
■Formula One gaffe reveals Ferrari and McLaren secrets(SunbeltBLOG)
http://sunbeltblog.blogspot.com/2007/09/formula-one-gaffe-reveals-ferrari-and.html
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