ネットユーザーにも関心の高い「ダウンロード違法化」や「私的録音録画課金」、「著作権法の親告罪の範囲見直し」などについて、文化庁の文化審議会著作権分科会は、16日からパブリックコメントの募集を開始した。同分科会は12日、「私的録音録画小委員会」と「法制問題小委員会」の2つの小委員会で審議してきた内容を中間報告として公表。その内容に対して一般の意見を募るもので、11月15日まで受け付ける。
これまで音楽や動画のダウンロードは、個人が楽しむ範囲内であれば、当該著作物の違法・適法が問われることなく、「私的使用」として著作権法30条の適用範囲とされてきた。しかし、最近はファイル交換ソフトの利用や「違法着うたサイト」急増など、著作権侵害行為が目に余るようになり、違法サイトからのダウンロードは「私的使用」範囲から除外すべきという声が高まっている。「私的録音録画小委員会」ではこの問題を審議し、違法にアップロードされた音楽や動画をダウンロードする行為もまた違法であるとする意見が大勢となった。
ただし、違法となるのは、その著作物やサイトが違法であることを知ってダウンロードした場合に限られる。また、YouTubeの動画などのように視聴が一時的であるストリーミング配信も違法とはせず、違反した場合の処罰規定も設けないとして、利用者に受け入れられやすい形をとっている。これに対し、現行法で対処できる違法アップロードの規制を行えば十分であり、またさまざまな面でネットユーザーに与える影響が大きいとして、ダウンロードの違法化に反対する意見も出されている。
著作権者の利益を守るためにデジタル録音録画機器や記録媒体から補償金を徴収する「私的録音録画補償金制度」については、課金対象の見直しが審議された。iPodのようなHDD内蔵型プレーヤーや携帯用オーディオレコーダーなども対象に追加すべきという意見が大勢だったが、パソコンや携帯電話等については意見が一致していない。
「法制問題小委員会」では、インターネットオークション等を利用して増加している海賊版の拡大防止措置について審議している。現行法では海賊版販売は違法だが、オークションでの販売告知は違法ではない。これについては、海賊版と知って販売告知を行うことは著作権侵害行為とみなすべきとしている。また、悪質な著作権侵害に対応するため、著作権法の親告罪の範囲の見直しも検討されたが、著作権者の判断で見逃しているケースもあり、一律に非親告罪とすることは不適当との意見が大勢を占めた。
「私的録音録画小委員会中間整理」および「法制問題小委員会中間まとめ」とも概要と詳細資料をネットで入手できる。パブリックコメントはどちらも11月15日まで、電子メール、FAX、郵送で受付けている。
(2007/10/18 ネットセキュリティニュース)
■「文化審議会著作権分科会私的録音録画小委員会中間整理」に関する意見募集の実施について(e-Gov)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000284
■「文化審議会著作権分科会法制問題小委員会中間まとめ」に関する意見募集の実施について(e-Gov)
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=Pcm1010&BID=185000283
■著作権法
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S45/S45HO048.html