政府は今年7月に「有害情報から子どもを守るための検討会」を立ち上げ、子どもたちに悪影響を与える危険性があるインターネットなどの有害情報の規制強化に向けて動き出した。先月25日に公表された「有害情報に関する特別世論調査」には、検討会の課題がそのまま反映されており、来年度に向けた政府の施策が見えてきた。
調査は、全国の20歳以上の3,000人(有効回答:1,767人)を対象に個別に訪問し、対面で答えてもらう面接聴取方式。回答者には現状を解説した資料を示した上で、子どもを守るためにどうすべきだと思うかなどを質問している。
●90.9%が「ネットの有害情報」規制を支持
回答者に示した資料では、「わいせつ画像などの性的な情報」「暴力的な描写や残虐な情報」「自殺や犯罪を誘発する情報」「薬物や危険物の使用を誘発する情報」などを、子どもたちに悪影響を与えるおそれのある有害情報と定義。「雑誌、DVD、ビデオ、ゲームソフトなどは、ほとんどの都道府県が条例で規制しているが、罰則が弱い、規制がばらばらであるなどの指摘がある」「インターネットでは事業者による自主規制などが行われているが、業界団体に属していない業者が規制の対象外となったり、子どもが有害情報にアクセスして被害にあうケースが増えている一方、表現の自由などに配慮して、いかなる情報であっても規制すべきでないという意見もある」と述べている。
雑誌、DVDなどの有害情報については、「国として規制すべきである」が63.2%を占め、「各都道府県の条例で規制すべきである」の21.8%と合わせた、85%が規制を支持。80.8%は、「規制を強化すべきである」と回答している。
ネットの有害情報については、「規制すべきである」が68.7%、「どちらかといえば規制すべきである」が22.2%と、90.9%が規制を支持。「どちらかといえば規制すべきでない」は3.1%、「規制すべきでない」は1.4%にとどまる。
●90.9%は「児童ポルノを持つだけ」で処罰
現行の児童ポルノ禁止法では他人への提供を目的とした所有などは規制されているが、個人が自分の趣味で所有しているだけならば処罰されない。これに関し「個人が持つだけであれば他に害を及ぼさないため現行のままで問題はないとの意見がある一方、被写体となる児童の権利を守る観点から、単に持っているだけでも処罰の対象とすべきとの意見がある」と述べ、児童ポルノを単に持つことも法律で規制するかどうかを質問。「規制すべきである」69.6%、「どちらかといえば規制すべきである」21.3%の計90.9%が、単純所有も規制対象にすべきとした。
●86.5%が「子どもポルノコミック」も規制へ
現行の法令では、実在しない子どもに対する性行為など描いたコミックやイラストなどの規制については、「実在しない子どもを描くのであれば他に害を及ぼさないため、現行のままで問題ないとの意見がある一方、これららが児童を性の対象とする風潮や児童に対する性的犯罪を助長するとの意見もる」とし、写真やDVDなどと同様に規制の対象とすべきかどうかを質問。「対象とすべきである」58.9%、「どちらかといえば対象とすべきである」27.6%の計86.5%が規制対象にすることを支持している。
政府は、子どもを守るためには有害情報に対する取組みをさらに強化していく必要があると考えており、来年度の施策へとつながる検討会の中間報告は、年内をめどにまとめられる予定。
(2007/11/06 ネットセキュリティニュース)
■有害情報に関する特別世論調査[PDF](内閣府)
http://www8.cao.go.jp/survey/tokubetu/h19/h19-yugai.pdf
■有害情報対策に係る有識者と内閣府特命担当大臣との懇談・有害情報から子どもを守るための検討会(内閣府)
http://www8.cao.go.jp/youth/suisin/yuugai/index.html