出版大手の講談社(東京都文京区)は28日、同社コミック担当の社員が発信元と利用目的を偽ってアンケートメールを送付していたとして、同社ホームページに謝罪文を掲載した。
当該社員は今月2日から9日にかけて、Googleのフリーメールサービス「Gmail」を使ってマンガ関係のブログ主宰者156名にアンケートメールを送付。「慶應義塾大学総合政策学部でWebマーケティングについて学んでいる大竹」と名乗り、「コミックスのインターネットによる販売促進効果に関する調査の一環」と称して、サイトの訪問者数や更新頻度、情報源、ネット書店のアフィリエイト、出版社への要望やひいきにしている漫画家・作品などの質問をした。
アンケートはExcelのワークシートに書かれた添付ファイルになっており、ワークシートのプロパティ(※1)が「会社名:株式会社講談社」「作成者:情報システム部」となっていたことから、アンケートを受け取った主宰者が同社に問い合わせて発覚。同社は、現在当該社員から聞き取りを行っているが、いずれにしても言語道断な行為であり、厳正に対処するとしている。
※1)プロパティ(property)
ファイルなどが持っているさまざまな属性情報。アプリケーションが作成するドキュメントファイルでは、ファイル内に会社名や作成者、タイトル、キーワードなどのさまざまな情報を本文とは別に記録できるようになっている製品が多く、Microsoft Office製品では、インストール時のユーザー名や会社名が自動的にドキュメントのプロパティに反映される。
Webなどで公開したドキュメントファイルからは、プロパティをはじめ塗りつぶしや非表示箇所など、表から見えない思わぬところから情報漏れが起こることがある。アプリケーションから直接HTMLファイルやPDFファイルに出力した場合にも、これら情報が一緒に出力される場合があるので注意が必要だ。
(2007/11/30 ネットセキュリティニュース)
■講談社から皆様へ:アンケート不正送付についてのお詫び(講談社)
http://www.kodansha.co.jp/emergency3/
【関連記事:ネットセキュリティニュース】
・「コピー防止」だけでは不十分、PDF文書を公開する際には要注意(2007/09/28)
・不二家、HP掲載の黒塗りPDFで4人分の氏名が閲覧可能に(2007/04/05)
・千葉市教委:隠したはずの黒塗りPDFが丸見え、非公開情報が大量流出(2006/08/04)