「ワンクリック詐欺」をさらに巧妙化した「ツークリック詐欺」と呼ばれる手法を用いて現金を騙し取ったとして、千葉県警は11月28日、出会い系サイトの運営会社会長らを逮捕した。
逮捕されたのは、東京都港区の出会い系サイト運営会社「インセンス」の会長、落合正行容疑者(30歳)ら6名。落合容疑者らは、10月にも銀行口座を不正に開設した詐欺容疑で逮捕されており、今回はツークリック詐欺での再逮捕となった。ツークリック詐欺での摘発は全国でも珍しいという。
ワンクリック詐欺は、電子契約法(下記参照)により消費者が保護され、原則的に契約が無効になる。ワンクリックでの契約は、業者が申込み内容等の確認措置を行っていないとして、錯誤とみなされるからである。これに対抗して出てきたのがツークリック詐欺で、料金や利用規約への同意などを紛れ込ませた「確認画面」を入れることで、電子契約法に基づいた契約だと主張しようとする。利用者には、自分に落ち度があったと思わせ、さらに個人情報を読み取ったように見せかけて不安をあおる手口を用いている。
東京都が提供するツークリック詐欺のサンプルページによると、まずサイト上に「18歳以上ですか」といった年齢確認のポップアップ画面が表示される。クリック(1クリック目)すると確認画面が開くが、この画面に記載されている注意事項の中には、料金や利用規約への同意などが分かりにくく紛れ込ませてある。そこで「OK」をクリック(2クリック目)すると、あたかも個人情報が読み取られているかのような動画が表示された後、使用しているOSやブラウザ、IPアドレスといった情報の掲載された料金請求画面に切り替わる。請求画面には「退会相談窓口」や「サポート連絡先」「インターネットの安全組合」と称したバナー広告が貼り付けられており、不安になった利用者に連絡させて個人情報を取得しようとする。
2クリック目の、個人情報が読み取られているかのような動画は、実はただの画像ファイル。また、登録画面に表示されるOSやブラウザ、IPアドレスといった情報は、どのサイトでもアクセスした時点で取得される情報の一部で、この情報から個人を特定することは非常に難しい。
東京都では、ツークリック詐欺サイトにアクセスしてしまい請求画面が表示されても、あわてて支払いや連絡はせずに、最寄りの消費生活センターに相談することを勧めている。
(2007/12/04 ネットセキュリティニュース)
■最新事件・事故ファイル(千葉県警)
http://www.police.pref.chiba.jp/trouble/newest/
■詐欺事件で男女10人を逮捕(船橋警察署、生活経済課、生活安全特別捜査隊、組織犯罪対策課)
http://www.police.pref.chiba.jp/trouble/newest/index.php?sl_year=2007&sl_mon=10&sl_mday=24
■架空請求 より巧妙な手口が増加(東京都)
http://www.metro.tokyo.jp/INET/OSHIRASE/2006/11/20gbu300.htm
■STOP!架空請求!(東京都)
http://www.anzen.metro.tokyo.jp/net/
■電子契約法(e-Gov)
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/H13/H13HO095.html
■電子契約法について(総務省)
http://www.meti.go.jp/topic/downloadfiles/e11213aj.pdf