自衛隊神奈川地方協力本部(横浜市保土ヶ谷区)は11月17日、自衛官採用試験受験者730人の個人情報の一部を誤ってホームページ(HP)に掲載したと発表。報道各社は一斉にこの個人情報流出事故を報じた。誤掲載の発表も報道も、当然ながら誤掲載情報をHPから削除したことを前提に行われたのだが、実際には、情報は完全に削除されておらず、公表後半月以上にわたって閲覧可能な状態が続いていた。
情報が流出したのは10月1日。自衛官の採用活動をしている神奈川地方協力本部が同日、HP上で2007年の曹候補士採用1次試験合格者590名の受験番号を発表した際、誤って、2006年の合格者730名の個人情報も閲覧可能な状態にしてしまった。
同本部では、合格者発表用のページを、昨年の合格者情報を含むワークシートの一部をもとにしてExcelで作成し、HTMLファイルとして出力して公開したが、この際、同時に出力された昨年の情報も公開してしまったのである。
情報の誤公開から1か月半後の11月16日に外部から通報があり、同本部では削除作業を実施の上、HPで個人情報流出の事実を公表し、謝罪した。ところが実際は、削除したのはワークシート全体を閲覧するための外枠にあたるメインのファイルだけで、個人情報が記載された肝心のファイルは引き続き閲覧可能だった。また、Googleには93名分の情報がキャッシュされ、誰でも閲覧できる状態になっていた。
閲覧可能になっていた個人情報は、氏名、生年月日、住所、連絡先電話番号、出身校とそのランク、家族の氏名と住所、電話番号など詳細にわたる。出身校のランクは、市販の受験情報書籍にもとづいて評定されたものだった。
当編集部では、流出事実公表当日の17日午後2時、個人情報を含むファイルの残存、Googleキャッシュで一部情報が閲覧可能という状況に気付き、神奈川地方協力本部へ事態を通知した。同日午後8時30分ごろに問題のファイルは削除されたが、Googleへのキャッシュ削除依頼は行われなかったとみられ(※1)、閲覧可能状態が続いていた。
当編集部では閲覧状態が続く間はニュース記事掲載を控えていたが、今月6日にこのキャッシュの消失を確認した。流出した個人情報は、事態の公表から半月以上、閲覧できる状態に置かれていたことになる。
※1)Googleにキャッシュの削除依頼を行うと通常1~2日で処理される。今回キャッシュが消滅したのは、クロール(Webページの収拾作業)が行われて情報が更新されたためとみられる。
(2007/12/11 ネットセキュリティニュース)
■受験者の個人情報流出事案についてのお詫び(防衛省・自衛隊)
http://www.mod.go.jp/pco/kanagawa/syazai.html