今年1年間に公表・報道されたP2P情報流出は、今回の日本原子力研究開発機構で156件目(編集部集計)となる。マスコミが盛んに発掘した昨年と比較すると3割減という数字だが、まだまだ異常な状態が続いている。同じニュースが年明けに続かないことを祈りつつ、今年最後のネットセキュリティニュースをお届けしたい。
■ 日本原子力研究開発機構、契約相手先会社社員のパソコンから業務情報流出
日本原子力研究開発機構は26日、契約会社の社員の私有パソコンから同機構の業務情報がインターネット上に流出したと発表した。
同機構によると、流出したのは2002年3月から翌年11月までの東海研究開発センター核燃料サイクル工学研究所(茨城県東海村)に建設中だった低放射性廃棄物処理技術開発施設(LWTF)に関する業務メールや添付ファイル。今年1月から2月までの業務情報にアクセスした記録などで、核物質防護にかかわる情報は含まれていないという。当該社員がWinny(ウィニー)をインストールした自宅のパソコンに同機構の業務情報を保存していたところ、ウイルスに感染し今月13日から15日の間に流出した。
・原子力機構契約相手先会社社員の個人パソコンからの原子力機構関連情報の流出について(日本原子力研究開発機構)
http://www.jaea.go.jp/02/press2007/p07122602/index.html
■ 青森県と山口県で職員を懲戒処分
青森と山口の2県で相次ぎ職員の処分が発表された。
青森県が先月14日に公表した、児童の面談記録など4名の個人情報がShare(シェア)を介して流出した問題で、同県は18日付けで流出元の健康福祉部職員を訓告処分に、職員の所属長を口頭注意した。
山口県が今月4日に公表した、73名の個人情報を含む防府土木建築事務所の業務資料がWinnyを介して流出した問題で、同県は25日付で同事務所に在籍していた流出元の農林水産部農林水産政策課の職員を減給10分の1・4か月の懲戒処分にした。
・職員の懲戒処分について(山口県)
http://www.pref.yamaguchi.lg.jp/press/200712/008925.html
■ 警察庁が懲戒処分の指針改正
警察庁は20日、職員の懲戒処分の指針を改正し、Winnyなどのファイル共有ソフトに関する規定を新たに追加した。
新規定では、被害者などの個人情報や職務に支障を生じるおそれの大きい情報を流出させた場合には、免職または停職に。使用するだけでも減給または戒告とした。
ファイル共有ソフトによる情報流出には、これまで処分規定がなかったが、今年に入ってからは警視庁と三重県警の警察官が免職処分、山梨県警と北海道警の警察官が6か月の停職処分となっている。なお、山梨県警の警察官は依願退職、北海道警の警察官は停職処分中に女性の部屋をのぞき見し懲戒免職となった。
・懲戒処分の指針の改正について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/pressrelease/jinji15/1220_kaisei.pdf
(2007/12/28 ネットセキュリティニュース)