情報処理推進機構セキュリティセンター(IPA/ISEC)は14日、「ファイル共有ソフトを通じた情報漏えいに対する技術的手法の提案」の公募を開始した。11月にはWinny(ウィニー)を介した情報流出問題で消防署員と刑務所職員が処分されている。また、7月に流出問題で停職中の巡査長が女性の部屋をのぞき懲戒免職になった。
■IPA、ファイル共有ソフトによる情報漏えい被害の対策技術を公募
IPAによると、Winnyをはじめとするファイル共有ソフトの利用者は増加傾向にあり、現在180万人にも達しているという。一方で、ファイル共有ソフトのウイルス感染による情報流出が後を絶たない。政府などがWinny自体の不使用を呼びかけたり、対策ソフトが市販されているにもかかわらず、被害は増加し社会問題化している。
IPAは今月14日から27日までの期間、ファイル共有ソフトを介した情報漏えい被害を抜本的に低減するための技術的手法の提案を公募する。応募できるのは法人のみで、電子申請で受け付ける。審査結果は、2008年1月中旬をめどに提案者に通知するとともに、HP上で公表される。
・「ファイル共有ソフトを通じた情報漏えいに対する技術的手法の提案」の公募について(IPA)
http://www.ipa.go.jp/security/kobo/19fy/roei/index.html
■足柄消防組合、情報流出で署員を減給処分
足柄消防組合(神奈川県南足柄市)は11月30日、住民の個人情報を含む業務情報をWinnyを介して流出させた問題について、警備課長補佐を減給10分の1、2か月の懲戒処分に、また上司の警備課長と署長を戒告、消防長を訓告処分にしたと発表した。流出したのは、2006年度に作成した火災現場での質問調書や活動報告書など。これらには、住民の住所、氏名などの個人情報3件が含まれていた。
・足柄消防組合
http://www.ashigara-fd.jp/index.htm
■法務省、水戸少年刑務所情報流出で職員を1か月の停職処分
法務省は11月15日、水戸少年刑務所(茨城県ひたちなか市)の受刑者や職員の個人情報をWinnyを介して流出させた問題について、同刑務所の係長を停職1か月の懲戒処分に、またネットワーク管理者である庶務課長を戒告、所長らを訓告と厳重注意の処分にしたと発表した。流出したのは、1999年から今年4月までの行政文書。これには、同期間に収容されていた被収容者の氏名や生年月日のほか、罪名などの個人情報約120名分が含まれていた。
・法務省
http://www.moj.go.jp/
■北海道警察、情報流出で停職中に女性の部屋をのぞいた巡査部長を懲戒免職
北海道警察は11月28日、稚内署(北海道稚内市)刑事課勤務の男性巡査長を女性の部屋をのぞき見した軽犯罪法違反容疑で書類送検し、同日付けで懲戒免職にした。同巡査長は、4月にWinnyを介して約570名分の個人情報を含む捜査資料を流出させ、7月から6か月の停職処分を受けていた。停職中の8月、女性の部屋をブラインドのすきまからのぞき見したという。
・北海道警察
http://www.police.pref.hokkaido.jp/
(2007/12/18 ネットセキュリティニュース)