出会い系サイトをきっかけとして児童買春等の犯罪被害にあう児童(18歳未満の者)が相次いでいることから、警察庁の有識者会議は17日、出会い系サイトの規制強化を提言した報告書をまとめた。これを受けて警察庁では、出会い系サイト規正法の改正案を通常国会に提出する。また1月31日まで、報告書内の提言や今後の課題等に関してパブリックコメントを受け付けている。
報告書をまとめたのは「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止研究会」(座長:前田雅英首都大学東京教授)。提言では、出会い系サイト事業者を特定できないため処分ができないという現状から、事業者に都道府県公安委員会への届出を義務付けるとしている。また、事業者に児童に関係する書き込みの削除を義務付けたり、現在自己申告に頼っている年齢確認方法を強化する必要があるとも提言。さらに、事業者の取り組みが実効性のあるものになるよう、事業者の責務を法律に明記することも求めている。違反事業者を業務停止命令などの行政処分の対象にすることや、暴力団員や一定の前科者等の欠格事由を定め、事業廃止命令の対象とすることも盛り込んだ
ほかに、出会い系サイト以外のサイトでも児童の犯罪被害が相当程度発生している実情から、こうしたサイトにおいては、自主的に注意喚起等を行うことが適当であるとした。保護者や携帯事業者に、フィルタリング普及促進のための努力義務を課することも提言している。
報告書によると、出会い系サイトの数は推計で約5,000。出会い系サイトに関係した事件の被害児童数はここ数年1,000人を超えており、2003年の出会い系サイト規正法施行後いったん減少したものの、2006年以降再び増加している。2007年上半期の被害児童数は604人で、女子児童が99%。被害児童の95%以上が、出会い系サイトへのアクセス手段として携帯電話を利用している。また、「出会い系サイト以外のサイト」関連の事件による被害児童数は、2007年の7月から9月だけで124人に上った。出会い系サイト関連事件では児童買春行為による被害が最も多いが、他サイト関連事件では青少年保護育成条例違反(淫行等)が最多となっている。
(2008/01/18 ネットセキュリティニュース)
■「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止の在り方について」に対する意見の募集について
「出会い系サイト等に係る児童の犯罪被害防止の在り方について」(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/deaimeeting/h19/doc0/deai_pubcome_annai.pdf
■出会い系サイト等に関わる児童の犯罪被害防止研究会(警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/deaimeeting/index.html