京都府警生活経済課ハイテク犯罪対策室と五条署は24日、原田ウイルスの作成者とみられる大阪電気通信大学大学院生の男(24歳)を逮捕した。ウイルス作者の逮捕は、2006年1月に、ネットバンク不正送金事件でスパイウェアを作成した男が逮捕されて以来となる。
ネットバンク不正送金事件の逮捕容疑は、電子計算機使用詐欺と不正アクセス禁止法違反だった。今回の大学院生の逮捕容疑は、人気アニメ「クラナド」の画像を無断使用してウイルスを作成し、Winny(ウィニー)を介して不特定多数に流出させた「著作権法違反」である。京都府警生活経済課ハイテク犯罪対策室は昨夏、サイバーパトロール中に原田ウイルスを発見、作者として大学院生を突き止めていたとされる。しかし、日本にはウイルス作成や配布を処罰する法律がないため、苦肉の策として著作権違反容疑での逮捕としたとみられる。
「原田ウイルス」は「Haradong」「DENUTARO」などと呼ばれているウイルスの俗称で、2006年春に登場。.exeや.scrなどの実行ファイルを.aviのような動画ファイルなどに見せかける機能をもつ。アイコンを偽装し、動画を再生しようとすると、プログラムが実行される仕掛けだ。画像を表示する裏でハードディスク内のファイルを削除したり、デスクトップのスクリーンショットやIPアドレスなどを収集し、外部に漏えいしようとする。
「原田ウイルス」という俗称は、感染すると原田と名乗る男の画像が現れることからきているが、トレンドマイクロのウイルス名「DENUTARO」の語源になった「dentu-tarou」(ファイル偽装ツールを配布していたHPの名称)は、大阪電気通信大学を指していたと思われる。同大はお詫びの文書をウェブに公開している。
ウイルス作成罪については2004年に国会に提出されているが、抱き合わせで盛り込まれている「共謀罪」への反発などから成立のめどは立っていない。今回の立件は、法案成立へのきっかけになる可能性もある。
(2008/01/25 ネットセキュリティニュース)
■Winnyによる3度目の公衆送信権侵害事件、3人を逮捕(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/news/news080124.html
■大学院生の逮捕について(大阪電気通信大学)
http://www.osakac.ac.jp/oecu/news/diary.cgi?no=234」