全国銀行協会は19日、盗難通帳やネットバンキングによる預金等の不正な払戻しが発生した際の被害者への対応策を発表した。銀行に過失がない場合でも、預金者が無過失のケースでは、被害額を原則として全額補償するという。
偽造・盗難カードによる不正引き出しは、預金者保護法(※1)により、金融機関の補償義務になっていた。しかし、同法にはネットバンキングに関しての規定がなく、各行の裁量で補償を行ってきた。今回の対応策により、盗難通帳やネットバンキングによる不正引き出しも補償対象となる。
全銀協の発表によると、金融機関への速やかな通知と十分な説明、および捜査当局への事情説明などの協力を要件として、被害者の過失の度合いにより、補償基準を設定している。被害者に過失がない場合は、盗難通帳およびネットバンキング双方ともに、金融機関が被害額を全額補償するとしている。
被害者に過失のある場合に関しては、盗難通帳による被害のケースとネットバンキングによる被害のケースとで、異なる基準となっている。盗難通帳による被害では、預金者に重過失がある場合には被害額の補償は行わず、それ以外の過失については被害額の75%を補償するとしている。重過失に当たる具体例としては、預金者が他人に通帳を渡した場合や、預金者が他人に記入・押印済みの払戻請求書・諸届を渡した場合などが挙げられている。
一方、ネットバンキングによる被害に関しては、被害者の過失認定についての具体的な補償基準は示されず、各行における個別対応になるという。
この発表を受けて、各金融機関が払戻しへの対応を発表している。三井住友銀行、みずほ銀行、三菱東京UFJ銀行の3大メガバンクでは、電話による相談窓口を設置した。ジャパンネット銀行では、ネットバンキング取引における振込送金上限額の引下げを行っている。多くの金融機関が被害者の過失認定に関しては全銀協の基準と同様とし、ネットバンキングによる被害における過失認定基準は明記していない。
※1)預金者保護法:偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者の保護等に関する法律
(2008/2/22 ネットセキュリティニュース)
■「預金等の不正な払戻しへの対応」について(全国銀行協会)
http://www.zenginkyo.or.jp/news/2008/02/19160000.html
■各銀行の対応
・盗難通帳・インターネットバンキング等による不正利用被害に対する補償について[PDF](みずほ銀行)
http://www.mizuhobank.co.jp/company/release/2008/pdf/news080219_2.pdf
・盗難通帳・インターネットバンキングによる預金等の不正な払戻しへの対応について[PDF](三菱東京UFJ銀行)
http://www.bk.mufg.jp/news/news2008/pdf/news0219.pdf
・預金の不正な払戻被害への対応について(三井住友銀行)
http://www.smbc.co.jp/news/html/j200261/j200261_01.html
・【りそな・埼玉りそな・近畿大阪】盗難通帳・インターネットバンキングによる預金等の不正な払戻しへの対応について[PDF](りそなホールディングス)
http://www.resona-gr.co.jp/holdings/news/newsrelease/pdf/200220_2a.pdf
・不正振込被害への補償について(ジャパンネット銀行)
http://www.japannetbank.co.jp/company/news2008/080219.html
・全国銀行協会の申し合わせ「預金等の不正な払戻しへの対応について」に関するお客さまへのお知らせ(ソニー銀行)
http://moneykit.net/visitor/info/info080219_01.html
・盗難通帳・インターネットバンキングによる預金等の不正な払戻しへの対応について(千葉銀行)
http://www.chibabank.co.jp/news/html01/00386/index.html