迷惑メールを取り締まる「迷惑メール防止法」(特定電子メールの送信の適正化等に関する法律)に違反したとして、これまでに22億通を送信して荒稼ぎしていた男が逮捕された。また、ユーザーに大量の宣伝メールを送りつけていた業者に対し、総務省から改善命令が出された。
■迷惑メール22億通を送信、2,000万円稼いでいた男に逮捕状
警視庁ハイテク犯罪対策総合センターは15日、送信元アドレスを偽って不特定多数の人に異性紹介サイトなどを宣伝する迷惑メールを送信したとして、東京都の居酒屋従業員(25歳)を迷惑メール防止法違反の疑いで逮捕したと発表した。今回の逮捕は、同容疑者が昨年11月、送信元メールアドレスを架空のアドレスに書き換え、自分のパソコン5台を使用して競馬情報サイトや出会い系サイトに誘導する迷惑メールを9回送信した疑い。
同容疑者は、2006年5月から昨年12月の1年7か月間に、約22億通の迷惑メールを送信し、約2,000万円の利益を得ていたという。迷惑メールの受信者が利用者登録をすると、サイトを運営する広告主から手数料がもらえる仕組みだ。迷惑メールの送信先アドレスは、インターネット上のアドレス情報販売サイトから約80万件を購入していた。
迷惑メール防止法は2002年施行で、2005年の改正により対象となる迷惑メールの範囲が拡大され、送信者情報を偽った迷惑メールの発信者に対し直接刑事罰を科せるようになった。今回のような送信者情報虚偽表示容疑での摘発は、同法施行以来、今回で4件目という。
■メルマガ装って大量のスパム送信、「カラーダンス」に総務省が改善命令
総務省は19日、迷惑メール防止法に違反して広告・宣伝メールを送信していたとして、ビューティースタイル(兵庫県姫路市。2007年10月12日以前の商号はカラーダンス)に対し、14日付で電子メール送信方法の改善を命じる措置命令を行ったと発表した。
同社は少なくとも昨年12月から今年1月までの間、同意していない相手に広告・宣伝メールを送信する際、件名欄に「未承諾広告※」と正しく記載せず、また電子メール本文の送信者の名称の記載の前に「<送信者>」と表示しないなど、同法に定める表示義務に違反していた。
同省によると、同社は過去1年間に5,000件以上の迷惑メールを送信しており、迷惑メール受信者からの苦情や日本データ通信協会の情報収集で違反が判明した。警告メールを同社に8回送ったが改善しなかったという。同社はインターネット上のサイトでダイエット商品や美容商品などを販売する業者で、総務省関連の相談センターには1,000件を超える苦情が寄せられていた。
同社による迷惑メール被害については、以前よりネット上でも話題となっていた。同社のメールマガジンに登録したり懸賞に応募したユーザーに大量に迷惑メールが送信され、配信停止ができない、配信停止をしてもすぐにまた送信されてくるなどの声があがっていた。迷惑メール防止法違反に対する改善命令は今回で5件目となる。
・特定電子メール法違反者に対する措置命令の実施(総務省)
http://www.soumu.go.jp/s-news/2008/080219_1.html
(2008/2/21 ネットセキュリティニュース)