国内で昨年見つかったばかりの新種のクワガタムシ「タカネルリクワガタ」がネットオークションで売買されていたことがわかり、環境省は24日、種の保存法に基づく緊急指定種に指定した。26日から3年間は、捕獲や殺傷、譲渡などが禁止される。
タカネルリクワガタは、日本鞘翅(しょうし)学会会員の井村有希さんによって発見され、昨年11月にルリクワガタ属の新種として記載された。体長1センチ程で、オスは青緑メスは銅の金属光沢があり、色彩が美しいことが特徴。乱獲を避けるために生息地は公表されていないが、ある山系の非常に限られた地点でしか分布が確認されておらず、個体数はごく限られたものである可能性が高いという。
今回はこの種の希少性に加え、ネットーオークションで標本が売買されているとの情報を確認したことから、同省は緊急に規制する必要があると判断した。今後、生息状況などを調査した上で、国内希少野生動植物種への指定を検討する。
これまでに緊急指定種に指定された種は、1994年12月に指定されたワシミミズク、イリオモテボタル、クメジマボタルの3種のみ。うちワシミミズクは国内希少野生動植物種に指定されたが、その後の調査で生息域が広く安定していることが明らかになった他の2種に関しては、指定はなされていない。
編集部の調査では、ビッダーズ系のオークションにオスメス1組の標本が3件出品されていたことを確認。うち2件は1月に11万3,900円、2月に11万1,000円で落札され、3件目は出品者によってキャンセルされていた。これら取引に関しては違法ではないが、今後は違反すると1年以下の懲役または100万円以下の罰金となる。
(2008/03/25 ネットセキュリティニュース)
■種の保存法に基づく緊急指定種の指定について(環境省)
http://www.env.go.jp/press/press.php?serial=9494