福岡県警生活経済課と筑紫野署は24日、ファイル共有ソフトWinny(ウィニー)を使ってゼンリンの電子住宅地図ソフトを無断で送信可能な状態にしていたとして、兵庫県加古川市の兵庫県警巡査(31歳)と福岡県春日市の会社員(35歳)を著作権法違反(公衆送信権侵害)容疑で福岡地検に書類送検した。
調べによると、巡査は今年1月、自宅のパソコンで2回にわたり「デジタウン福岡県北九州市八幡東区(2002誕生記念版)」ほか1種類のソフトウェアを、Winnyを使って送信可能な状態にしていた疑い。会社員は同月、自宅のパソコンで「デジタウン岩手県紫波町(2004年9月版)」を、Winnyを使って送信可能な状態にしていた疑い。
公衆送信権の侵害によるWinnyユーザーの摘発は、2003年11月にゲームソフトや映画を公開していた2名、2007年5月に漫画を公開していた3名、今年1月にアニメとアニメ画像入りウイルスを公開していた3名の事例がある。いずれも、Winnyを使って積極的に放流していたアップロードユーザーの摘発だったが、今回摘発された2人は、もっぱら放流されたファイルを取得するダウンロードユーザーだったという点が異なる。巡査は「仕事で使いたいと思いダウンロードした」、会社員は「デジタウンを収集したかった」と供述している。
現行の著作権法では、個人が私的に行う著作物の複製は禁止されておらず、ダウンロードは違法行為とはならない。ところが、Winnyは取得したファイルを自動的に公開する仕組み(※注1)になっているため、ダウンロードユーザーもアップロードユーザーと同等の扱いとなり、今回の公衆送信権侵害を適用した摘発となった。
※注1)Winnyの仕組み
Winnyは、取得するファイルをキャッシュフォルダと呼ばれる場所に保管し、ダウンロードが完了するとファイルの暗号化を解除してダウンロードフォルダに取り出す。キャッシュフォルダの中身はダウンロードが終わった後もそのまま残り、アップロードフォルダと同じようにネット上に公開され、他者から要求があればそこにあるファイルを提供する。Winnyのダウンロードは、同時にアップロードに参加することでもあるわけだ。
(2008/03/25 ネットセキュリティニュース)
■Winnyによる公衆送信権侵害、2人を書類送検(ACCS)
http://www2.accsjp.or.jp/news/news080324.html