人気アニメの画像などを無断使用し、いわゆる「原田ウイルス」を潜ませて配布し、著作権法違反と名誉毀損の罪に問われていた大阪電気通信大大学院生に対し、16日、京都地方裁判所の柴田厚司裁判官は、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
「原田ウイルス」は動画ファイルなどに見せかけた実行ファイルで、動画を再生しようとするとプログラムが実行される。画像を表示する裏でハードディスク内のファイルを削除したり、デスクトップのスクリーンショットやIPアドレスなどを収集し外部に漏えいしようとするなど、動作内容はさまざまだった。
現在、日本にはウイルス作成や配布を処罰する法律がないことから、大学院生はウイルス作成については問われず、著作権違反と名誉毀損で起訴されていた。
大学院生は昨年11月、同級生の顔写真や住所、電話番号を記載した画像を使ってウイルスを作成し、ファイル共有ソフトのWinny(ウィニー)を介して不特定多数に流出させ、被害者の名誉を毀損。また、人気アニメ「CLANNAD(クラナド)」の画像を無断使用してウイルスを作成し、同様に不特定多数に配布し著作権を侵害している。
大学院生が被害者の顔写真入りウイルスを作成したのは、被害者をねたみ、からかう目的だったという。また、作成したウイルスを有名にするためにアニメ画像を悪用していた。柴田厚司裁判官は、意図的な犯行で酌量の余地はないと指摘したうえで、被告が十分に反省し、一定の社会的制裁を受けているとして、懲役2年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡した。
同時期に摘発された3件の関連事件のうち、2人は著作権法違反のみの罪で、判決は懲役1年、執行猶予3年だった。大学院生の場合は、名誉毀損が加わったために量刑が増えたとみられる。
(2008/5/19 ネットセキュリティニュース)