ネットを使った犯罪予告が後を絶たない。ネットセキュリティニュースでも、数件をまとめた上で月に一度、という早いペースでお伝えしなければならないほどの状況だ。
東京・秋葉原で8日に起きた無差別殺傷事件で、容疑者は携帯電話の掲示板に犯行予告を書き込んでいたが、これを受けて警察庁は9日、通信業界4団体で構成する「違法情報等対応連絡会」に対し、殺人などの犯罪予告が書き込まれた場合、警察に通報するよう要請した。また、11日に開かれた政府の関係閣僚会議では、こうした書き込みを自動検知するシステムの開発や、関係団体への通報要請に関して意見交換が行われた。
以下に、5月以降に動きのあった犯罪予告関連の事件を挙げる。
■ネット掲示板に和歌山の女子大生殺害予告、さいたま市南区の男を逮捕
ネット掲示板の「2ちゃんねる」に4月23日、和歌山市の女子大生の実名を上げて「殺す」と書き込んだとして、和歌山北署は5月8日、さいたま市の無職の男(35歳)を脅迫容疑で逮捕した。男と女子学生は面識がなく、女子学生の名前は大学関係のホームページで偶然に見つけたと話しているという。男は、女子大生の通う大学の付属高校に一時在籍していたことがあり、この高校に対する爆破予告も書き込んでいたとみられている。
■ネット掲示板に五島市職員殺害予告、五島市の自営業の男を書類送検
ネット掲示板の「2ちゃんねる」に3月26日、長崎県五島市の職員とその家族に対する殺害予告が書き込まれた件で、長崎県警五島署は5月12日、軽犯罪法違反(業務妨害)の容疑で、五島市の自営業の男(48歳)を書類送検した。男は、「五島市の行政のせいで仕事がうまくいかない。腹が立っていた」と話しているという。
■ネット掲示板に大量の爆破・殺害予告、東京都足立区の都立高校職員を再逮捕
ネット掲示板の「2ちゃんねる」に、大阪府立高校などに対する爆破予告を書き込んだとして、大阪府警捜査1課などは5月22日、東京都足立区の都立高校職員(43歳)を威力業務妨害容疑で再逮捕した。男は3月から4月にかけ、府立高校などに対する爆破予告を書き込み、業務を妨害した疑い。ネット上の論争相手に嫌がらせをする目的で、名前をかたって書き込んだと話しているという。男は創価学会の施設の爆破予告を書き込んだとして逮捕、起訴ずみ。
■ネット掲示板に放火予告、埼玉県八潮市の大学生を逮捕
ネット掲示板の「2ch2.net」に5月19日、埼玉県立高校に対する放火予告を書き込んだとして、埼玉県越谷署は5月29日、埼玉県八潮市の男子大学生(18歳)を脅迫の容疑で逮捕した。大学生は、自宅のパソコンから、この県立高校を名指しして「学校が火の海になる」などと書き込んだ疑い。大学生は3月にこの高校を卒業していた。
■神戸市のテロ予告、チャット仲間の高校生に指示されて行った疑い
神戸市の男子高校生(当時17歳)が3月10日、「神戸市の高校と周囲の小中高校にテロをします」などと書き込んで同12日に逮捕された件で、その後の取調べで、この書き込みが千葉県柏市の男子高校生(18歳)の指示によって行われた疑いが強いことがわかった。神戸市の生徒を取り調べる中で、テロ予告に柏市の生徒が関与していたことが判明。柏市の生徒が今年1月から2月にかけて神戸市の生徒を脅して、睡眠薬服用を強制していたこともわかり、柏市の生徒は強要の容疑で逮捕された。2人はチャット上の知り合いで、面識はなかった。
(2008/06/12 ネットセキュリティニュース)