文部科学省は20日、学校での暴力行為やいじめ、不登校などの問題行動の実態を調べた「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」の昨年度の調査結果を公表した。
この調査は、都道府県の教育委員会などを通じて全国の国公私立の小中高等学校を対象に、毎年行っているもの。調査結果をみると、昨年度のいじめの認知件数は10万1127件と、前年度より2万3771件減少するも、依然として深刻な状況が続いている。
いじめの内訳(複数回答可)は、「冷やかしやからかい悪口など」が6万5019件(64.3%)と最も多く、次いで「仲間はずれや集団による無視」が2万2904件(22.6%)、「軽くぶつかられる、叩かれる、蹴られる」が1万8877件(18.7%)と続く。これらは前年度と同じ構成で、いずれも2割前後減少しているのに対し、「携帯電話などで誹謗中傷や嫌なことをされる」いわゆる「ネットいじめ」は20.8%増え、前年度の4883件から5899件に。認知件数全体に占める割合はまだ低いものの、前年度の3.9%から5.8%へと増加している。
小中高別のネットいじめの割合は、小学校1.1%(前年度0.8%)、中学校8.4%(前年度5.2%)に対し、高校は20.3%(前年度13.8%)と高く、冷やかしなど(55.5%)、軽くぶつかられるなど(20.4%)に次ぐ構成比となっている。一方、前年度からの増加率は高校がほぼ横ばい(1699→1705件)なのに対し、中学校が35%増(2691→3633件)、小学校が15%増(466→536)となっている。これらは、携帯電話の保有率の動向とよく似た傾向を示しており、特に小中学生へのさらなる拡大が懸念される。
文部科学省は、対策の一環として、学校・教員向けにネットいじめ対応マニュアルを作成したと12日に発表。全国の小中高校に配布するほか、21日からは同省のホームページでも公開している。
(2008/11/25 インターネットセキュリティニュース)
■平成19年度「児童生徒の問題行動等生徒指導上の諸問題に関する調査」について(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/11/08111707.htm
■「ネット上のいじめ」に関する対応マニュアル・事例集(学校・教員向け)(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/20/11/08111701.htm