東京・秋葉原で昨年6月に起きた無差別殺傷事件の容疑者が、「MEGA-VIEW」上に開設された掲示板「究極交流掲示板(改)」に犯行を予告する書き込みをしていたことから、警察庁は予告書き込みの積極的な通報を呼びかけるとともに、全国の警察に書き込んだ人物に対し厳正に対処するよう通達。以来、これまでにない大量の予告書き込みが摘発され、秋葉原事件以降100人余りが逮捕・補導されるに至っている。摘発された予告書き込みは、いずれもいたずらや悪ふざけばかりだが、その一方では秋葉原事件のように犯行後に予告書き込みが見つかった例もいくつかある。
【女子中学生が京都市内で刃物で切りつけ】
昨年7月6日午前1時50分頃、京都市内の路上で刃物を持った女子中学生が、帰宅中の女性と悲鳴を聞いて駆け付けた男性に切りつけ軽傷を負わせた。7日付の京都新聞が伝えるところによると、女子中学生は5日夜、携帯電話のサイトに「河原町か京都駅で人を殺す」と書き込んでいたという。
【浮気に逆上した妻が夫を包丁で刺し重傷】
昨年12月14日午前11時15分頃、東京都新宿区のマンションで妻が夫を包丁で刺し重傷を負わせた。妻は同日午前10時20分頃、自分のブログと掲示板に「旦那が浮気してました。他に女がいました。腹いせに携帯破壊しました。仕返しに私の携帯も破壊されました。腹いせに刺し殺したいと思います」と書き込んでいた。
【無職男が六本木ヒルズで通行人らに包丁を振り回す】
昨年12月30日午後8時35分頃、六本木ヒルズ(東京都港区)近くで無職の男が通行人らに包丁を振り回し、駆け付けた警察官に取り押さえられた。男は直前の午後8時31分頃、ネット掲示板「2ちゃんねる」に「派遣切りとかふざけんな!金ねぇ 今から六本木でやってやる。ヒトさすとどんな感じなんだ」と書き込んでいた。
【千葉県の高1少年が父親を包丁で刺殺】
今年1月8日午前6時15分頃、千葉県内のアパートで通信制高校1年の少年が父親を包丁で刺殺。少年は昨年末から「2ちゃんねる」に独り言を綴っており、1月6日の夜には「君らが考えるような事があるかもしれんよ」「畜生め決心が揺らぐ」と記載。7日未明には「失敗を恐れたが為に決行できなかった」「起こす事への意志自体は全く揺らがない」「愛する父を殺そうと思っています」と続き、7日午後7時14分頃の「まだやってないけどね。明日には全て結果が出る。まあいいとこ途中でブルって止めるのがオチだろうけどな」の書き込みで終わっていた。
事例が少ないため、これだけで判断するのは早計だが、秋葉原事件や前年3月の原爆ドーム不法侵入事件(前日に通報があり警戒していた)も同様、単独で行われる犯罪の予告は、実行に移されるまでにほとんど猶予がない傾向にあり、いたずらかどうかの予測も難しい。総務省は多額の予算を組んで犯罪予告検知ソフトの開発を進めているようだが、書き込まれた直後に検出し、警察が速攻で動けるような体制でなければ再発防止策にはならず、いたずらや悪ふざけの予告摘発ソフトになってしまう可能性が高い。
(2009/01/29 ネットセキュリティニュース)