2008年に全国の警察が摘発した児童ポルノ事件は過去最多の676件で、このうちネットを利用したものは254件あったという。ネットを利用した児童ポルノ、とくにP2P(ファイル共有ソフト)を利用した児童ポルノの提供は、流通が広範囲に及ぶため被害は甚大かつ深刻だ。
昨年11月には海外で普及しているファイル共有ソフトのeMule(イーミュール)、LimeWire(ライムワイヤー)を使った児童ポルノ配信が相次ぎ摘発されたが、今年に入ってからもすでに3件、ファイル共有ソフトを使った児童ポルノ配信の摘発が行われている。容疑者らが使用したファイル共有ソフトは、「うたたね」、Share(シェア)、Winnyp(ウィニップ)など。
■2月13日:Shareで女児のわいせつ動画を提供、京都市の塾講師を逮捕
京都府警ハイテク犯罪対策室などは2月13日、ファイル共有ソフトのShareを利用して不特定多数に女児のわいせつ動画を提供したとして、京都市伏見区の塾講師の男(44歳)と、岐阜市の会社員の男(46歳)を児童買春・児童ポルノ禁止法違反(公然陳列など)の容疑で逮捕した。
調べによると、両容疑者は先月中旬頃、上記目的でそれぞれ自宅のパソコンを使い、女児のわいせつ動画をShareで閲覧可能な状態にした疑い。塾講師の男は約50本、会社員の男は180本の児童ポルノをShareで流した容疑が持たれている。両容疑者に面識はなかったという。
・京都府警
http://www.pref.kyoto.jp/fukei/index.html
■2月12日:WinnypやeMuleで児童ポルノ動画を提供、我孫子市の会社員を逮捕
埼玉県警少年捜査課などは2月12日、ファイル共有ソフトを使って児童ポルノ動画を提供したとして、千葉県我孫子市の会社員の男(28歳)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的所持など)容疑で逮捕した。
調べによると、容疑者は昨年9月、ファイル共有ソフトのeMule(イーミュール)に児童ポルノ動画を保存し、サイバーパトロール中の捜査員に提供した疑い。また今年1月、ファイル共有ソフトのWinnypの共有フォルダーに児童ポルノ動画を保存していた疑い。容疑者宅から押収された外付けハードディスクには、児童ポルノの画像約5万枚、動画約600本が見つかったという。WinnypはWinnyの改造版で、匿名性がより強化され提供者が特定されにくくなっている。
・埼玉県警
http://www.police.pref.saitama.lg.jp/kenkei/
■1月6日:「うたたね」で児童ポルノ動画を提供、豊田市の自営業者を逮捕
奈良県警少年課は1月6日、ファイル共有ソフトの「うたたね」を使って不特定多数に提供する目的で児童ポルノを所持していたとして、愛知県豊田市の自営業の男(39歳)を、児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的所持)の容疑で逮捕した。
容疑者は上記目的で自宅のパソコンに児童ポルノ動画を所持していた疑いがあり、6日に家宅捜索がなされ、現行犯逮捕となった。
「うたたね」はサーバーを介してファイルを交換するソフトで、容疑者が開設したサーバーでは200~300人が児童ポルノ交換に利用していたとみられる。ただし、サーバーの役割は仲介業務だけで、その後のファイルのやりとりはPC同士が直接行うため、どんな中身のファイルがやりとりされたか等はサーバー側は感知しない。本件逮捕も、サーバー開設者としてではなく、ユーザーとして児童ポルノを提供目的で所持した容疑による。
・奈良県警
http://www.police.pref.nara.jp/
(2009/02/20 ネットセキュリティニュース)