テレビ朝日(本社:東京都港区)の「情報整理バラエティー ウソバスター!」の中で、自作したブログをインターネット上の情報として紹介していた問題で、総務省は3月31日、放送法違反で同社に厳重注意の行政指導を行った。
同省の発表によると、番組中で紹介した6件のブログは、いずれも番組制作スタッフが元のネット情報を参考に作成。うち1件は元のネット情報の現存が確認できなかったにもかかわらず記憶をもとに作成し、これらを元のネット情報であるかのように視聴者に誤認させる方法で放送した。これは、同社が準用する番組基準(日本民間放送連盟放送基準)に反した過剰な演出に該当し、番組基準に従って番組の編集を行うよう定めた放送法に抵触すると認定。同社に対し、今後このようなことがないよう厳重に注意するとともに、再発防止に向けた取組みを強く要請した。
同省の指導を受けてテレビ朝日は同日、「今後はこのようなことがないよう、チェック体制の充実、スタッフの意識の向上などに努める」とコメントした。
問題の放送は、1月10日に放送された同番組内の「ネットの情報、ウソ・ホント?」というコーナー。6件のブログを紹介し、そのうち4件は書かれている情報が嘘という内容だった。放送直後から、ネット上ではネタ元のブログが同じ日に集中して作られ、その後の投稿もなく不自然だとの指摘が相次ぎ、ネット上の嘘を暴くつもりが自らの嘘を暴かれる結果となった。
撮影用のブログの作成は、本来ならば人目に触れないLAN内などの自社の管理下で行うべきところを、番組ではgooやYahoo!などが提供しているブログサービスを使用。これらブログは約1か月間に渡って一般に公開されていたが、そこには撮影用のサンプルであることや内容に誤りがあることなどは記載されておらず、一般人に成りすまして作成したものだった。同社は、番組内の該当映像部分にイメージ映像であることを明確に表現すべきだったとしているが、それ以前に大元のブログに明記すべきことであり、本質的な問題が分かっていないようだ。
テレビ朝日に限らず、ネット上では何を書いてもいいとか、匿名だからバレないなどと考える人が少なからずいるようだが、決してそのようなものではないということを改めて認識したい。
(2009/04/06 ネットセキュリティニュース)
■番組問題への対応(総務省)
http://www.soumu.go.jp/menu_news/s-news/02ryutsu09_000006.html
■「ウソバスター!の行政指導について」(テレビ朝日)
http://www.tv-asahi.co.jp/usobuster/