著作権法の一部を改正する法律案が2009年6月12日、参議院本会議で可決、成立した。2010年1月1日から施行される。
今回の改正は、デジタルコンテンツの流通促進のため、インターネット等を活用して著作物等を利用する際の著作権法上の課題の解決を図ることを趣旨として行われた。
施行後は、インターネットで違法に配信されている音楽や映像を、違法なコンテンツと知りつつ、デジタル方式で録音または録画することが禁止される。罰則規定はない。ストリーミング配信サービスについては対象外となっており、たとえばYouTubeやニコニコ動画などのサービスで違法なファイルを視聴するだけなら問題はないが、ツールを使ってファイルを保存したり、HDDに保存されたキャッシュをコピーすることは違法行為となる。
また、違法に配信されているコンテンツであることを知らずに録音、録画してしまうことも考えられるため、こうした場合に利用者に不利益が生じないよう留意することとする付帯決議が改正法に付されている。付帯決議ではこのほか、今回の改正に便乗した不正な料金請求等による被害を防止するため、改正内容の趣旨の周知徹底に努めるとともに、レコード会社等との契約により配信される場合に表示される「識別マーク」の普及を促進することとしている。
海賊版DVDなどを違法な複製物であると知りつつネットオークションに出品する行為も禁止された。
このほか、インターネットで情報検索サービスを実施するための複製や、情報解析研究、送信の効率化、電子機器利用時に必要な複製が、権利者の許諾なしで行えるようになった。美術品をオークションなどで販売する際の画像掲載も、無許可で行える。視覚障害者向けの録音図書作成や、聴覚障害者のために映像へ字幕や手話を付け加えることも無許可でできるようになった。
日本レコード協会は15日、改正著作権法が可決、成立したことを歓迎し、来年1月1日の改正法施行に向けて、改正の趣旨を十分に周知するための広報活動等の取り組みを続けるとするコメントを発表。同協会の石坂会長も、「今後も違法な音楽ファイル等の流通を撲滅するための諸活動を継続し、改正法の趣旨を国民に広く理解いただくための広報活動に努めていく」としている。
(2009/06/16 ネットセキュリティニュース)
■著作権法の一部を改正する法律案(文部科学省)
http://www.mext.go.jp/b_menu/houan/an/171/1251917.htm
■著作権法の一部を改正する法律案に対する附帯決議[PDF](参議院文教科学委員会)
http://www.sangiin.go.jp/japanese/gianjoho/ketsugi/171/f068_061101.pdf
■「違法な音楽ファイル等のダウンロードの違法化」などを含む著作権法の一部を改正する法律案の国会通過にあたって(日本レコード協会)
http://www.riaj.or.jp/release/2009/pr090615.html