北海道釧路市は21日、固定資産情報を記録したUSBメモリーを紛失したと発表した。このUSBメモリーには、市内のすべての固定資産情報にあたるという約27万3000件の固定資産情報が記録されていた。
発表によると、14日午後5時頃に、資産税課より情報システム課にデータ作成の依頼があった。釧路地方法務局に報告するためのもので、データ作成に必要な情報が入ったUSBメモリーが手渡された。同市では、個人情報が入った記録媒体は施錠できる所に保管する規定となっているが、このときUSBメモリーを受けとった情報システム課職員は机上に置いたままにしてしまったという。
同課職員がUSBメモリーが見当たらないことに気づいたのは、翌15日の午後4時頃だった。当日から17日まで、同課内を探したが見つけることができなかった。15日午後3時頃に廃棄パソコン等の運び出し作業が行われていたことから、誤廃棄を疑い、17日午後4時頃に産業廃棄物処分業者に確認したが、すでに処理された後だった。
このUSBメモリーには、家屋約8万7000件、土地約18万6000件の所有者名などの個人情報が記録されていた。セキュリティ対策として、特定ソフトを介してパスワードを入力することで読み取り可能となる設定がなされている。
同市は、個人情報を取り扱う職員に対し、個人情報保護条例等の遵守について徹底し、再発防止に万全を期していくとしている。
【紛失事故が絶えないUSBメモリー】
USBメモリーなどデータを保存できるツールの紛失・盗難による個人情報流出事故が後を絶たない。当編集部での調査では、2008年6月から今年5月までの1年間に、291件の紛失・盗難が公表または報道されている(紛失170件、盗難121件)。このうち、流出情報件数の最大はパソコン紛失による約24万3742件。今回の釧路市のUSBメモリー紛失による27万3000件は、この1位の件数を上回る。紛失・盗難事故でもっとも多いツールは、USBメモリー・メモリーカード(136件)で、2位はパソコン(97件)。「小さい中に大量のデータを記録できる」長所が、紛失・盗難の理由ともなっていることに十分留意したい。
(2009/07/22 ネットセキュリティニュース)