警察庁は24日、「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況について、今年度上半期分をとりまとめて公表した。インターネット・ホットラインセンターは警察庁からの委託業務として、インターネット上の違法情報、有害情報に関する通報を一般ユーザーから受け付け、警察への通報やISPへの削除依頼などを行っている。
発表によると、同センターが今年1~6月の半年間に受理した通報件数は6万2462件。前年同期より4370件(6.5%)減少しているが、その内訳をみると、違法情報、有害情報ともに通報件数は増加しており、通報を受けて警察が検挙に至った件数も増加している。
●違法・有害情報の通報件数が増加
わいせつ物や児童ポルノなど法令に違反する「違法情報」は1万573件で、前年同期より4434件(72.2%)の増加となった。殺人などの違法行為を請負うとしたり、集団自殺を呼びかけるなどの「有害情報」は3535件で、前年同期より808件(29.6%)増加している。
「違法」「有害」に分類されない「その他の情報」には、知的財産権侵害や、子どもに悪影響を及ぼすおそれがあるポルノ情報や出会い系サイトの存在情報などが含まれる。ここに分類される通報は5万3370件で、前年同期より7908件(12.9%)減少している。
●違法情報の8割を占める「わいせつ」「児童ポルノ」「出会い系」
違法情報で最も多いのは、わいせつ物公然陳列46.2%(4884件)、次いで児童ポルノ公然陳列25.6%(2710件)、出会い系サイト規制法違反の誘引9.6%(1015件)で、この3件で違法情報全体の8割を超える。
●削除と検挙
同センターから削除依頼を行った件数は違法情報5086件、有害情報1151件。実際に削除された件数は違法情報4271件、有害情報892件だった。また、違法情報として警察へ通報された6634件のうち検挙に至ったものは52件あり、前年同期の4件に比べ48件の増加となっている。
●海外ホットラインとの連携
同センターは諸外国のホットライン相互間の連絡組織であるINHOPE(International Association of Internet Hotlines)を通じた違法情報への対応も推進している。2009年上半期には、海外へ349件の通報を行った。また、海外から313件の通報を受理し、警察への通報や、国内ISP等へ削除依頼を行っている。
同センターは今後の課題の1つとして、未削除の違法情報が掲載されている掲示板の管理者等に対する対策を検討することをあげている。
(2009/09/25 ネットセキュリティニュース)
■平成21年上半期の「インターネット・ホットラインセンター」の運用状況について[PDF](警察庁)
http://www.npa.go.jp/cyber/statics/h21/pdf51.pdf